舞鶴高1殺害事件、殺人と強制わいせつ致死罪で起訴

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200904290008.html

容疑者は、昨年5月7日未明、同市内の朝来(あせく)川岸付近で、被害者にわいせつな行為をしようとして抵抗されたことなどに腹を立て、殺意を抱いて頭や顔などを鈍器で何度も殴り、出血性ショックで死亡させたとされる。

容疑者が約20年前に起こした女性暴行事件と今回の犯行の手口が酷似していると結論づけた鑑定書などを用い、殺害事件との共通点を明らかにして有罪を導くとみられる。

被害者が被告人とともに撮影されている防犯カメラ画像があるようですから、殺害される直前の、殺害現場に近接した場所に被告人がいた、という立証は、おそらくできると検察庁は考えているのでしょう。
ただ、それだけでは、もちろん立証として不十分であり、状況証拠による立証としては、大別して、

1 被告人が犯人であるということに関する状況証拠によるもの
2 被告人以外に犯人はあり得ないという状況証拠によるもの

の2通りが考えられます。上記の2がかなり強く立証できれば、上記の1がやや弱くても、被告人の犯人性は認定できるかもしれませんが、本件では、犯行の時間帯、場所が、「未明」「川岸付近」ということで、犯行の機会は、被告人以外の者にも十分あり得たのではないかと思われ、被告人と犯行の結び付きということを、かなり強く立証しないと、怪しいと言えば怪しいが犯人であると合理的な疑いを超えて証明されているとは言えない、と裁判所により判断される可能性があります。
要は、どういった証拠での立証を考えているかということになりますが、約20年前というかなり古い事件の手口との「酷似」(どこまで酷似しているかはわかりませんが)などと言っているようでは、それほど強固な証拠構造にはなっていないのではないか、と思わせるものもあり、今後の公判での検察立証というものを見てみたいという気がします。