裁判員負担軽減検討を

http://www.nhk.or.jp/saitama-news/20120413185208_04.html

元検事の落合洋司弁護士は死刑の判決について、「多くの状況証拠を検証するという非常に難しい事件の裁判で、裁判員は健全な常識や社会通念に照らして判断したと思う。このため、裁判員が入って出した判決は相当重いし、正当性が強く出てくる」と述べました。その上で、「今回の裁判は、裁判員がこれほど判断が難しい事件にも対応できるという証明にもなった」と評価しました。一方で、今回の裁判は、心理的な負担が大きく、裁判員が拘束される時間が長かったとして、「裁判員にはさまざまな事情があると思うので、今後、負担を軽減する方法を検討する必要がある」と指摘しました。

昨日の、さいたま地裁での判決前に、コメントを求められていた関係で、いろいろと資料を入手して読んでみたのですが、各事件が、自殺ではなく他殺であることに加え、被告人の犯人性が、積み上げられた状況証拠によりかなり高いレベルまで立証されている、という印象を率直に持ちました。刑事事件の証明は、反対事実の存在を許さないという証明ではなく、反対事実の存在可能性はあっても、合理的な疑いを入れる余地がない程度まで証明の程度が達しているか、というもので、その意味で、可能性としては、別人が犯人ではないか、それぞれ別の犯人がいて、偶然にも次々と殺害されたのではないか、といったことは指摘できても、積み重ねられた状況証拠で、被告人が合理的な疑いなく犯人と認定できれば有罪で、正に、裁判官と裁判員はそのような判断に到達した、ということでしょう。
検察官による立証構造は、かなり強固で、この判断を上級審で覆すのはかなり困難ではないかと思われますし、殺害被害者3名という重大な結果など、1審判決が指摘している量刑事情に照らすと、死刑という結論を覆すのも、なかなか困難なことではないかと私は見ています。