http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090318-00000123-san-soci
被害者が1人の事件で極刑が選択されるかが焦点。近藤裁判長は判決理由で、供述が異なる3被告の強盗殺人罪の共謀を認定したうえで、「3人がそれぞれ楽をして金もうけをしようと行ったもので、動機に酌量の余地がないことは明白」と指弾した。
犯行態様についても「被害者の命ごいに耳を貸すことなく犯行を遂げた。無慈悲かつ残虐であり、戦慄(せんりつ)を覚える」と非難。
犯行の動機や態様の悪質性等が著しければ、殺害被害者が1名であっても死刑判決は十分あり得る、ということを改めて明らかにした判決と言えるでしょう。
有名な永山事件判決は、死刑にすべきかどうかの検討要素の1つとして「被害者の数」を挙げますが、被害者が1名であれば死刑にはできない、などとは一言も言っておらず、永山判決の前も後も、殺害被害者が1名であっても死刑になった事例はあります。ただ、殺害被害者が1名で死刑になる、というのは、それだけ犯情が極めて悪質である事案にはなるでしょう。極刑に処すものと、そこまでは至らないものを、どこで線引きするかということが問題になり、非常に判断が難しいところです(死刑制度を存置することが前提ですが)。
本件が、今後、上訴審で審理される中で、この判決が維持されるか、あるいは見直されるのかわかりませんが、最終的に維持されることになれば、厳罰化の流れの中で、殺害被害者が1名であってもこのような事案であれば死刑になった例、として、今後、参考にされる可能性が高いでしょう。