ネット検索業界、個人情報保護が新たな土俵に

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBRR2451.html

検索各社にとっては、結果表示の質の向上のほか、ネット詐欺を防止し、検索語に関連性の高い広告を提供するため、通常、検索履歴の保持が望ましい。だが、米メディア大手タイム・ワーナーNYSE:TWX)傘下のインターネット部門AOLが昨夏、65万人のユーザーの検索データを公開してしまった件を受け、検索データから判明する可能性のある個人情報が注目され、プライバシーに対する懸念が広がった。

昨日、コメントした「グーグル革命の衝撃」でも、この問題が取り上げられていて、興味深く読みましたが、米国で、業界としてこの問題に取り組もうとしている背景には、各社がバラバラの状態で、単に「一生懸命真面目に取り組んでいます」と言っている状態では、法規制がかかり、一旦規制されるようになれば次第に強化されて、業務運営に深刻な打撃が生じかねない、と危惧しているのではないか、と私は推測しています。
上記の書籍で、奥平康弘・東京大学名誉教授が、表現の自由について、

マスメディアは第四の権力ともいわれるが、グーグルという企業は、これまでの権力概念では捉えきれないような存在だ。現代の表現の自由の問題は、こうした権力的な私的機関に反市民的、反社会的な行為があった場合、国家がもう少し大胆に前に出ていくべきかが問われており、グーグルによって表現の自由がうまく機能しているのかを見極めることが重要だ。グーグルによる情報の選別が、何によって支えられているのか、今後の憲法学が切り込むべきテーマだろう
(232ページ、233ページ)

と鋭く指摘されていますが、これは、表現の自由だけでなく、プライバシーの問題にもあてはまるものと思われます。
日本でも、こういった米国の流れに追随する形で、今後、この問題がさらに大きくクローズアップされるようになる可能性が高いと思います。