流出「公安テロ情報」出版 第三書館、実名や顔写真掲載

http://www.asahi.com/national/update/1126/TKY201011260556.html

データは編集部が作成した項目に整理されているが「内容には手を加えてはいない」という。

警視庁は流出発覚から約1カ月が経過した現在も「内部資料かどうか調査中」として、内部資料とは認めていない。ある警察幹部は「書籍になればより多くの人の目に触れることになり影響は大きい。情報流出の原因を突き止めるしかない」と話した。

昨夜、遅くに朝日新聞からコメントを求められ、紙面では出ていますが、著作権というよりプライバシー権の問題で、例えば警察による情報収集の対象になっていたような人の個人情報掲載については、こういった出版でプライバシー権が侵害される可能性が高いでしょう。警察による警備公安活動の実態を明らかにする必要性は肯定できるとしても、個人が特定されないような処理(マスキングするなど)は可能で、すべてを手を加えず書籍化して出版することを適法視することは困難です。
こういった深刻な事態まで招いてしまった、警察の情報管理の杜撰さは重大で、尖閣ビデオ問題の陰に隠れてほとぼりがさめるのを待っているわけには行かないことを改めて強く認識してもらう必要があるでしょう。
また、こういった事態が生じた場合、プライバシー権が侵害されてしまう個々人では迅速な対応が困難ですが、個人ではない、権力機関でもない、第三者的な組織を設けて、深刻かつ回復しがたい被害を防止するために一定の法的措置(出版差し止め等)を申し立てることができるなど、何らかの精度を設けておく必要性ということも、この件を見て、感じられるものがありました。この点は、表現の自由との関係で慎重な検討が必要であるとは思います。