http://www.asahi.com/national/update/0624/TKY200706240196.html
詐欺罪を適用するには、北海道加ト吉など偽牛ミンチを購入した各社に被害の認識があるかどうかなどが捜査の焦点となる。
犯罪の成否、被害届出などの捜査協力という2つのポイントがあると思いますが、前者について言うと「被害の認識」は不要ですね。だまされているわけですから、被害の認識があれば、むしろ詐欺にはならない、ということになるでしょう。
後者について、実務的によくあるのは、「だまされていない」「だまされたという認識はない」などと被害者側が言い、被害届や捜査協力が得られない、ということです。信用を損ねるとか、様々な思惑からそういった対応をする被害者がいますが、本件の場合、究極的には国民全体が被害者であり、だまされていたことが明らかになった場合、上記のような会社が、「被害の認識がない」などと言って被害届出や捜査協力をしない、というわけには行かないのではないか、という印象を受けます。
ただ、「被害者」の社内に、個人的に、偽装側と通謀するなどして、共犯関係に立つ者が出る、ということは大いにあり得るでしょう。そういった共犯関係が、会社の上層部にまで及べば、もはや、会社自体が「被害者」ではなく「共犯者」ということになります。
警察、検察庁としても、詐欺罪を立てるとしても、共犯関係や被害者認定は慎重に行わないと、公判で大きく足をすくわれることになりかねないでしょう。迅速さの中に慎重さというものも求められると思います。