中山信弘先生の見解

奥村弁護士のブログ経由で知りました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/05053001/001_3/011.htm

7.自由記載
1.著作権を天賦人権のように考え、絶対的なものと考える向きが一部にはあるが、著作権制度といえども、所詮は他の制度と同様、社会の中の一制度であり、他の社会的要請との調和を図る必要がある。著作権に限らず、知的財産権一般に言えることであるが、新しく人工的に構築された権利であり、社会における他の理念、制度等との調和の上に成り立っているという点を忘れてはならない。世界的に反著作権の思潮・運動が台頭しつつある現状を鑑みると、著作権者が著しい損害を被るような場合(ベルヌ条約の言葉を借りれば、正当な利益を不当に害する場合)は別として、社会的必要性に応じて権利を制限されることは、著作権法がこれからも社会的認知を受けてゆくためには必要なことである。社会的必要性は、時代によって変わりうる。例えば、身体障害者に対する社会の見方は、相当大きな変化をしており、著作権法においてもこれらの社会の変化に敏感でなければならない。

特に「著作権者が著しい損害を被るような場合(ベルヌ条約の言葉を借りれば、正当な利益を不当に害する場合)は別として、社会的必要性に応じて権利を制限されることは、著作権法がこれからも社会的認知を受けてゆくためには必要なことである。社会的必要性は、時代によって変わりうる。」という部分は、非常に重みがあるとともに、著作権に関する問題を考える上で、非常に示唆に富む視点ではないかと思います。
社会的必要性を考慮せず、権利の絶対性を過度に強調すれば、「世界的に台頭する反著作権の思潮・運動」の前に、著作権やそれを支える制度が崩壊してしまう恐れも、権利者側としても十分考慮すべきでしょう。