裁判官・検察官の勤務

下記のニュースでは、裁判官の過酷な勤務が問題になっています。私は、裁判官の経験はなく、検察官を11年余り務めたことがあるだけなので、自分の経験で言うと、確かに、検察官の勤務状況にも、かなり厳しいものがあると思います。
特に、捜査を担当している場合、身柄の拘束期間が限定されていますから、その期間内に捜査を遂げて結論を出す必要があり、かつ、そういった身柄事件を、多いときで20件程度同時に抱えているということは日常的にあり、状況によっては、休日を返上して、連日深夜まで仕事、ということも珍しくありません。中には、寝袋を検察庁の自室に持ち込んで寝泊まりしている、という人もいました。
公判担当の検察官も、抱えている事件数が多ければ仕事量が増えますし、否認事件とか、記録が多い事件があると、どうしても負担は増え、やはり、休日返上、長時間勤務ということになってしまいます。
私の場合、次第に要領が良く(?)なって、忙しい時でも、それなりに仕事を整理して進めながら、疲労を感じると早めに切り上げて帰宅したり、気分転換を図ったりして、「過労死」ということにならないように自分なりに注意していましたが、なかなか要領よく休めない人も少なくありません。特に、生真面目な人に、そういうタイプが多いという印象があります。
組織として、あるいは、そういう過酷な状況で苦しんでいる人の上司が、過労に陥らないように十分配慮すべきですが、この世界には一種の歪んだエリート意識のようなものがあり、過酷な勤務を「当然」、そういった状況に対する不満を「甘え」と捉える風潮があります(特に「団塊の世代」にその傾向があると思います)。生真面目な人ほど、そういう風潮に自らを適合させなければならない、認められたい、という意識が強くはたらくので、破局へ向けて一直線、ということになりかねません。
最高裁にしても、法務省にしても、現在は、まだ団塊の世代に支配され、なかなか考え方を改められないかもしれませんが、改めるべき点は改めないと、優秀な人から見放され、組織としての力がどんどん低下することにもなりかねないでしょう。