でたらめな公共施設の警備

このブログでも何度か指摘しているが、日本の公共施設(不特定多数が出入りする施設)の警備は、でたらめであると痛感する。
最も強く感じるのは、私がよく利用する六本木ヒルズである。なかなか便利な施設であるが、駐車場や店舗スペースには、何のチェックもせずに、入りたい放題に車や人を入れている。
昨年9月に、ロンドンへ行ったが、人が集まる場所では、必要に応じて所持品検査を行っており、持っているバッグなどを開けさせてチェックを行っていた。そのために長い行列ができていたが。その後、アルカイダがロンドンで計画していたテロ計画を英国の当局が未然に察知して防いだ、というニュースに接したが、行き届いた警備態勢を見ていたので、そういった姿勢が奏功したのだろうと感じた。
私が経験する裁判所の警備で、最も厳しく「見える」のは東京高裁・地裁である。しかし、ここも、所詮、おざなりの警備にしかすぎない。先日もこのブログで

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050312#1110590648

と指摘したように、おもちゃとはいえ、けん銃そのものの形をしたものを持っていても通してしまう。もし、それが真正けん銃であっても、通されて、書記官室で発砲されていたら、と考えるだけで恐ろしい。100パーセント問題のある物を発見するのは難しいかもしれないが、所持品検査をせずに身分証明書の提示だけで通過させている関係者入口から入ろうとしている弁護士に対して、見るからにIpodにしか見えないIpodを取り上げて、「これはカメラか」などと詰問しているようでは、肝心なところなどチェックできていないことが透けて見えるというものである。そんなに心配なら、職員や法曹関係者についても、厳重な所持品検査でもやったらどうか。
先日、京都地裁winny幇助公判の傍聴に行ったときも、過剰な所持品検査が行われていたが、金属探知器も使わず、触って確認するだけなので、あの程度の検査では、裁判所が神経質になっていた録音機もカメラも、持ち込もうと思えば意外と簡単に持ち込めてしまう。所持品検査を受けながら、そのことを感じて、見た目は厳重なようでも、肝心なところが抜けた検査だなと感じていた。
言っておきたいのは、他人の所持品について、あれこれとやかく言うのであれば、現在、人がどのような物を持ち歩いているのかについて、一通りの知識を持っているのは当然だ、ということである。カメラ付き携帯電話はいくらでも持ち込まれているのに、Ipodを見て、これはカメラか、などと詰問する意味がそもそもないし、そういう無知で鈍感な警備員を、日本最大の裁判所の正面玄関前に立たせておいてよいのか、というのは、国民、納税者の感覚として、それほど特異でもないと思う。そういう無知で鈍感な警備員にも、税金から決して安くない支出がされているはずである。