ユーザー置き去りの著作権攻防戦

http://www.asahi.com/tech/apc/040729.html

やや長いですが、おもしろい記事です。

日本レコード協会は昨秋、東京近郊の12〜69歳 1200人を対象に、過去半年間に何枚のCD-R/RWに音楽をコピーしたかを聞き、1人当たり1.33枚と算出。全国の人口当たりに直して年間約2億5800万枚のCD-R/RWに音楽がコピーされていると試算した。東京近郊の調査を日本全国に当てはめるのが妥当かどうかはともかく、大変な数字であるには違いない。

東京近郊の、それも1200人に過ぎない人を対象とした調査結果を、機械的に全国へあてはめるのは問題でしょう。「大変な数字であるには違いない」と驚く前に、「東京近郊の調査を日本全国に当てはめるのが妥当かどうかはともかく」という健全な疑問のほうを重視すべきでしょう。

つまり日本は、世界で最も厳しい規制を最も早く取り入れ、摘発も最も厳しい国の1つと言える。そのような日本だからこそ、先進的なサービスも世界で最も早く始まる――というのなら理解しやすい。だが現実は逆だ。iTunes Music Storeにみるように、安価で便利なサービスが他の先進国で始まっているにもかかわらず、日本は取り残されている。

権利権利と声高に叫んでいるだけでは儲からない、ということでしょうか。
権利侵害者がいなくなっても、気がついたら見渡すばかりの荒野でお客さんもいなくなった、では困ると思いますが。

例えばあるレコード会社の法務関係者は「私的複製は原則禁止し、一切の複製を有料化するべきだ」としている。
音楽出版社協会副会長も務める堀一貴ホリプロ副会長は「私的複製を一切禁じるのは非現実的」としながらも、「30条の『その他これに準ずる』の部分を、『著作者の利益を害さない範囲内』などと変える法改正を音楽業界として働きかけていくべきだ」と話す。

こういう議論をするなら、日本でも、アメリ著作権法のようなフェアユースを可能にする改正をすべきだ、という議論も深めるべきだと思いますね。

「消費者こそ最も重要な『関係者』のはず。消費者の代表が議論そのものに参加できない現状は非常に疑問です」と小熊さんは話している。

私も同感ですね。最近、弁護士も含め、「知財立国」などと言って、はしゃいでいる人が目立ちますが、権利を偏重、濫用して、顧客のことをきちんと考えないと、立国どころか「亡国」にしかならないでしょう。
大東亜共栄圏の建設」を提唱し、アジアの人々の迷惑を顧みず、慢心を重ねて自滅した戦前の日本の二の舞になりかねません。

ということで、私は、レッシグ教授の「フリーカルチャー」の続きを読むことにします。