規定違反と刑事過失

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040730k0000e040086000c.html

事故調報告書は、飛行記録装置のデータをもとに、高本機長が減速しようと操縦かんを強く引いた(オーバーライド)のが事故のきっかけと推定した。これを踏まえ検察側は「オーバーライドは規定で禁じられ機長は危険性を認識していたのに、緊迫状態となってあわてて操作した」と指摘した。

規則で決められていることは、あくまで、規則が一般的に適当、不適当と考えている内容に基づくものなので、一般的な規定に違反しているということが、個別具体的な場面での刑事過失には、必ずしも結びつかない、ということに留意する必要があります。
推測ですが、裁判所は、機長の操作が適当なものではない、とは考えたものの、機体の特性とか、予想外の機体の動きなどが複合して致死の結果が発生したと認定し、そこまでの予見可能性はない、と結論付けたのではないかと思います。
同種の状況が他にどの程度発生していたのか、そのような状況が発生した場合にパイロットがどのような点に注意していたのか、といった側面での捜査が尽くされていなかったのではないかという気がします。