拘置中の新聞制限は違法と判断 大阪高裁、賠償請求は棄却

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009061101000804.html

国側は「ほかの2紙を読ませている。新聞は内容に大差はない」と主張したが、一宮裁判長は「国は表現の自由に最も気を配らなくてはならない立場なのに、報道の重要性を看過するかのごとき主張は極めて失当」と非難した。
国の「希望を認めると審査などの事務量が増す」との主張についても「制限しても秩序維持に支障は出ない」と退けた。
賠償請求については、制限が拘置所の規則に基づいていることや、ほかの拘置所でも同様の制限があることなどを理由に、過失を認めなかった。
判決によると、男性は2005年1月から6月まで拘置。自費で朝日新聞の購読を希望したが、拘置所内のアンケートで希望者が多かった読売新聞、産経新聞の2紙に制限された。

私は、朝日新聞日本経済新聞を購読しているので、従前の大阪拘置所に入ると、読む新聞がなくなってしまうところでしたね。国側の「新聞は内容に大差ない。」という主張は、無茶苦茶な暴論で、朝日新聞は、読売や産経のような新聞(特に産経)と一緒にするなと、国(法務省訟務局あたり?)に抗議してもよいかもしれません。
読売や産経に限定しておけば、権力にすり寄った紙面作りをする傾向があって、記事に言う「審査」なるものがしやすかった可能性はありそうです。

<痴漢>被告に逆転無罪…被害者証言、信用性欠く 東京高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000117-mai-soci

阿部文洋裁判長は1審が有罪の根拠とした被害者の証言について「犯行を見ておらず、被告を犯人と言える根拠にならない」と指摘した。
痴漢事件の審理を巡っては最高裁が今年4月「特に慎重な判断が求められる」との初判断を示しており、それに沿った司法判断となった。

先日、痴漢事件で、最高裁が逆転無罪判決を出しましたが、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090415#1239756102

その事件の高裁裁判長(有罪判決を宣告)と、上記の記事の高裁裁判長が同一人物ですね。痴漢事件の事実認定について、勉強しなおしたのかもしれません。
裁判所のさじ加減一つで、有罪にも無罪にもなるというところに、この種の事件の恐ろしさを感じる人も少なくないでしょう。

江東バラバラ控訴審初公判 検察側改めて死刑求める

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090611/trl0906111109002-n1.htm

 この日は東城さんの母と姉が証人として出廷、「この事件は人がするものではない。(東城さんは)何も悪いことをしていないのに不公平だ」などと1審判決を批判した。

検察庁が量刑不当を理由に控訴した場合、1審判決について被害者や被害者遺族の意見を聞いて調書化したり、控訴審で証言してもらう、ということはよく行われます。
昨日は、夕方、TBS緑山スタジオにいたところ、日本テレビの「スッキリ」スタッフから電話があって、スタジオの外の電波状態の良いところで、携帯電話で取材を受けましたが、関係者に対する取材の中で、新潟で長期間にわたり女性を監禁した事件が参考判例として問題になっている形跡があるということだったので、本件の場合、被告人がわいせつ目的で被害者を略取し自室に監禁状態に置いた上、殺害するに至っていて、殺害に至る事情を、量刑上、どこまで考慮すべきか検討する上で、新潟事件が検討されているのではないか、という意見を述べておきました。
以前、

<江東バラバラ殺人>被告に無期懲役 東京地裁判決
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090218#1234920908

でもコメントしたように、本件は、従来の量刑相場に照らせば無期懲役になる事件ですが、厳罰化が進む中、この種の事件には死刑をもって臨む場合があるという方向へ裁判所が踏み出す可能性もないわけではない、と私は考えています。
東京高裁の山崎学裁判長は、慎重に検討、判断するタイプなので(ある事件で接したことがあって、量刑についても安易に検察官の言いなりにはならない、という印象を私は持っていますが)、慎重の上にも慎重に検討した上での判決となるでしょう。