「万引きで死刑」なのか?ライブドア問題を考える

http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1904468/detail

この問題については、いろいろな見方があると思いますし、議論が百出する中で、淘汰されるべきものは淘汰されて行くと思いますから、この「突っ込みどころ満載」のニュースに、私が逐一コメントするまでもないでしょう。

ライブドア事件を振り返る」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060430#1146405418

と読み比べていただければ、私の言いたいことはわかっていただけるものと思います。
敢えてコメントするならば、この問題について、一種の陰謀論を振りかざしたり、検察庁の姿勢を論難したりしても、上場廃止(その判断をしたのは検察庁ではなく東京証券取引所です)もやむをえないほどの、コンプライアンスに反することが、上場企業において行われていたという厳然たる事実は動かない、ということでしょう。「万引き」という言葉を、「処罰に値しない微罪」という意味で使うとすれば、行われたことが「万引き」で片付けられることだったのかが、改めて問われる必要があります。それに対して、これは万引きだよ、処罰に値しない微罪に過ぎない、と答えることができるか、と言えば、とてもそれでは済まない、という意見が大勢を占めるのは明らかです。
以前に、

捜査において「陰謀」はあるか?
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060122#1137897955

でも述べましたが、捜査の端緒や経緯の中に、不純な動機等が含まれていたとしても、立件し起訴する、という段階にまで至れば、公判を維持し有罪判決を獲得できるか、という観点から厳密な証拠評価を行わざるを得ないので、そういった評価を経て、起訴、有罪になったものに対して、上記のような「不純さ」があったことをもって論難しても、起訴され有罪となったという事実の前では、説得力に欠けると言うしかない、という場合が非常に多いと思います。
堀江氏は、確かにいろいろな意味で魅力的な面を持っており、支持したい、応援したい、という人々の気持ちもそれなりに理解できますが、客観的な意味での犯罪行為があったことが、堀江氏以外の共犯者の供述等から確実視されている現状において、仮に堀江氏がそういった犯罪行為を知らなかったとしても(そういう認定になるのは非常に困難と思いますが)、上場企業の代表取締役でありながら、そういった重大な事実を何ら知らずにいること自体、極めてうかつな話であり、経営者失格と言われても過言ではない、ということも指摘できるでしょう。

仏首相、内相失脚図る? 偽情報で捜査指示か 与野党から辞任要求

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20060502/20060502_002.shtml

疑惑の発端は、1991年の台湾へのフリゲート艦輸出に絡む汚職捜査をしていた予審判事のもとに、2004年5―6月に送られてきた複数の匿名の手紙とCD―ROM。ルクセンブルクの金融機関の秘密口座が裏金授受に使われたという内容でサルコジ氏ら与野党政治家の口座リストが入っていた。しかし捜査の結果、これらは偽情報であることが判明した。

この偽情報にフランス首相が関与していたのではないかという疑惑が持ち上がっているようですが、政治に謀略はつきもの、ということでしょう。偽メールを裏付けも取らずに信じ込んで墓穴を掘った民主党の元先生も、こういった謀略の歴史を学んでおく必要がありそうです。

電子メールの「隠し場所」

http://imak.exblog.jp/3551693/

電子メールを未送信状態にして情報を共有する、という手法以外にも、

http://briefcase.yahoo.com/bc//home

といったサービスを複数で利用することにより、同じ目的は簡単に達成されるでしょう。
テロ対策を、水も漏らさず徹底的に行おうとすれば、ISPが持っている情報に対し、網羅的にチェックをかけるしかない、ということになりますが、現実的には極めて困難であり、限界があります。難しい問題です。

「ハルちゃん」のその後

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060422#1145668744

で紹介した法廷劇ですが、台本を逐一チェックし(やりはじめると、どうしても「逐一」になってしまうのが私の長所でも短所でもありますが)、先日、関係者が稽古をやっている場所に行って、実際の法廷内での言動を実演するなどしてアドバイスしました。
どこまで反映されているかはわかりませんが、台本を読む限り、なかなかおもしろい内容になっていると感じました。
私の好きな国分佐智子さんも裁判官役で出演するとのことで、都合をつけて見に行くつもりでいます。
間もなくスタートということで、興味ある方は行ってみてください。

外部向けメール、上司にも届きます〜!? 私用防止

http://www.zakzak.co.jp/top/2006_05/t2006050228.html

県は同時に、外部との間で送受信したメールの履歴と内容をDVD(デジタル多用途ディスク)に数年間保存し、不祥事など問題が発生すれば証拠資料として捜査当局に提出できるようにもした。

こういうことを無意味とまでは言いませんが、携帯メールとかフリーメールなど、電子メールだけでも、使えるものはいろいろありますから、実効性がどこまであるかは疑問と言うしかありません。
監視の強化も、よく考えて実行に移さないと、本当に悪い人間は巧みに回避し、悪事には無縁な善良な人々だけが窮屈な思いをするという、笑えない話になりかねません。

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NHKドラマ「マチベン」への注目度がうかがえますね。

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陸自警務隊のカラ出張、指示した元隊長2人を不起訴処分

http://www.asahi.com/national/update/0502/TKY200605020319.html

地検によると、2人は99年5月から00年3月にかけて、急な出張などにあてる捜査費用を確保するため、カラ出張や架空の講演をでっちあげた虚偽の書類を部下に作らせ決裁。計15回にわたり、約250万円を不正に受け取ったとされる。

地検は、詐欺について「受け取った金は個人的に流用しておらず、不法に利益を得る意思が認めがたい」として嫌疑不十分とした。虚偽有印公文書作成・同行使については「内部文書で、公共の信用性を害する可能性は低い。不正受給した金も返還されている」として、起訴猶予とした。

具体的な証拠関係がわかりませんが、目的が私利私欲ではなかったとしても、自由に処分できる金を受け取っている以上、「不法領得意思」を認定するのが筋でしょう。受領後の使途に関する主観面まで、不法領得意思の認定に持ち込んでしまうと、最も困るのは検察庁ではないかと思いますが。この種の事件について、公判で同種の主張が出たら、「はい、そうですね。」と言って、公訴取消とか無罪論告しますか?しませんよね。>東京地検
内部文書であっても、虚偽文書が作成されれば、大きな弊害が生じるのは明らかで、上記の理由に説得力は乏しいでしょう。こういう理由付けで不起訴処分なんか出すと、今後、同様の事件の処理に困りますよ。
何とか不起訴にしたいと、理由をとってつけたのだと思いますが、同種・類似事件についての、今後の検察権行使に支障を生じさせかねない、稚拙な理由付けと思います。逆に言えば、刑事弁護の立場からは「使える」先例になり得るとも言えます。

『共謀罪』 与党修正案を検証する

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060502/mng_____tokuho__000.shtml

特に興味を感じたのは、

昨年十月の衆院法務委などで、柴山昌彦委員(自民)などからも集中砲火を浴びた「中止犯」の問題も放置されている。中止犯は「犯罪を思いついても思いとどまった人には刑を減免しなければならない」という刑法四三条の規定だ。「共謀後に『やめよう』と言っても共謀罪になってしまうではないか。あいまいだ」と矛盾をつく柴山氏に、法務省は「予備罪や準備罪にも中止規定は適用されない」と答弁したが、法律家らは「殺人・強盗などが対象の予備罪と、都市計画法道路交通法まで対象の共謀罪を同一に語るのは、むちゃくちゃな話」と批判する。「誰でもいけないことを思ったり口に出すが、中止犯という“黄金の橋”があるから実行せずに戻ってくる。橋をはずしてしまってよいのか」(日弁連)とも。

ですね。
刑法の中止犯は、

第43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

となっていて、自己の意思により犯罪を中止すれば、刑の免除も可能です(刑が必要的に減免されますが、必ず免除されるわけではなく、減軽にとどまる場合もあります)。
現在は、共謀のみで罪に問われることは基本的になく、共謀者の中の者が、共謀関係から離脱することにより刑事責任を負わない、ということもあり得ますが、共謀罪が成立すれば、共謀を遂げることで犯罪は成立し、中止犯もない、ということで、刑の減免を得ようとすれば、自首するしかない、ということになってしまいます。
種々の事情で自首もできない人は、形だけでも実行行為に着手して、すぐに「自己の意思により犯罪を中止」し、中止犯の適用を狙うという、非常に高度な(?)テクニックも、今後は必要になるかもしれません。