続く黙秘、殺意立証にハードル 識者「動機の解明重要」 岸田首相襲撃

続く黙秘、殺意立証にハードル 識者「動機の解明重要」 岸田首相襲撃(時事通信) - Yahoo!ニュース

県警は、処分保留となった威力業務妨害罪よりも法定刑が重い殺人未遂罪の適用も視野に入れている。ただ、容疑者が黙秘しているため、殺意を認定できるような供述は得られていない。爆発物の威力や危険性が焦点となるが、投げ込まれてから爆発するまで50秒ほど経過していた。  

元検事の落合洋司弁護士は「危険ではあるが、直ちに周りの人が死ぬレベルの威力だったのかは疑問だ」と話す。「客観的な危険性の立証だけでは弱い。事件前の言動など、動機や計画性の解明も重要だ」と指摘する。  

容疑者は被選挙権年齢の引き下げを求めて訴訟を起こすなど、選挙制度に不満を抱いていたとみられる。落合氏は「自分の考えを知らしめたいという自己顕示欲が背景にあれば、殺人未遂罪の認定には否定的に働く」との見方を示す。  

一方、爆発物は自作とみられることから「危険性自体の認識はあったのだろう」と分析。殺意を認定しなくても、治安の妨害や人身・財産を害する目的が認定できれば成立する爆発物取締罰則違反罪の方が立証しやすいと話した。 

時事通信にコメントを求められて話したことが、この記事ではうまくまとめられていると思います。

記者に話した際には、手榴弾を例にとって話したのですが、あのレベルの危険性であれば殺人未遂罪の認定は容易でしょう。しかし、本件の爆発物は手製であり、危険性はあるものの、直ちに人の殺害という結果を招くものか、慎重な検討は必要でしょう。客観的にそのような危険性があるとともに、主観的にも故意を持ってした犯行である必要があり、やはり、動機や計画性、犯人の真の目的は何だったかという操作を避けては通れないと感じます。

殺意を認定する場合、誰に対する殺意かも問題になります。その辺にいる人に対する、という、概括的殺意というのもあり得ますが、無関係な人々を無差別に殺害する、そういう犯行であったかという疑問が合理的に排斥できなければ、有罪認定は難しくなります。

殺人未遂罪については慎重な捜査を遂げた上で結論を出すべきという印象を強く受けます。