生野のスナックママ殺害事件 男を殺人と窃盗罪で起訴、強盗殺人立証できず 大阪地検

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150911-00000586-san-soci

地検は強盗殺人罪を適用しなかった理由について「殺害時に強盗の意思があったと立証できなかった」としている。

被告は逮捕時、「殺したのは間違いないが、金品を取る目的はなかった」などと供述していた。

強盗殺人罪が成立するためには、殺害行為が強盗の意思を持ちつつ行われたことが必要とされていますから、殺害の時点では強盗の犯意がなく、その後に金品を奪う意思が生じたのであれば、強盗殺人罪ではなく殺人罪と窃盗罪(が成立するか、死者に占有はないから占有離脱物横領ではないかという論点もあります)ということにになります。
ただ、やっていることを外形的に見る限りは、「人を殺して金品を奪った」ということで、「犯意」という内心の在り方如何により罪名が大きく変わってくる、ということが、その点に関する立証を必要とさせ、その認定上、自白があればわかりやすい、自白を取れ、ということになりやすくなります。自白がなければ、状況証拠による立証を図るということにもなってきますが、内心の問題ですから限界はありますし、あやふやな証拠で犯意が誤って認定される危険性もあります。
こうした、日本の刑事実体法の、主観面での重箱の隅をつつくような立証を求める構造になってしまっている点は、繰り返しその問題性が指摘されてきましたが、抜本的に見直すべき時に来ているように思います。裁判員裁判も定着しつつある中で、客観面を重視した新たな刑事実体法が必要ではないかという問題意識や具体的な取り組みを進めるべきでしょう。