「河井継之助の決断:長岡攻防戦における機動戦略とその限界」

 

 かつて歴史関係の雑誌に掲載されたもののようですが、Kindleで読めるのをたまたま知り、興味を感じて読んでみました。

河井継之助が家老であった長岡藩が加わった北越戦争は、

 

 を何度か読んでいるのでそれを通じて知っていましたが、著者は、発端となった小千谷談判(河井と官軍の岩村精一郎が交渉)で岩村が中立を前提とする河井の懇願を聞き入れず門前払いしたことについて、河井の中立論が官軍の受け入れるところとならなかったのは、当時の状況から当然であったとします。ここは、「峠」では岩村の失態と捉えられているところで、別の見方を読んでみるのは興味深いものがありました。司馬遼太郎自身、「峠」に先行する「英雄児」という河井を取り上げた短編では、河井に対する一定の距離を置いた書き方をしていて、河井に対する見方についても、「峠」に限定せず、複眼的に見る必要性を感じました。

北越戦争、長岡城攻防戦を振り返る上で、よくまとまっていて参考になるものでした。