北海道新聞記者を釈放 旭川医科大への侵入容疑で逮捕

北海道新聞記者を釈放 旭川医科大への侵入容疑で逮捕(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

同大は22日午後3時50分ごろ、報道各社に「新型コロナウイルスの感染防止措置として学外者の入構を原則禁止している」とファクスを送り、午後6時まで構内に入らないよう伝えていた。  同大は毎日新聞の取材に対し、この記者が同大で開かれていた会議を廊下で「録音していた」と説明。身分や目的を尋ねたが「明確な返答がなく逃げ去ろうとしたため、学外者が無許可で建物内に侵入していると判断し警察に連絡した」としている。同大は北海道新聞社(本社・札幌市)に抗議文を送り、説明を求めているという。

自分が担当検事なら、事件として処理する上でのポイントは故意の有無にあると見るでしょう。一般的に、立入を禁じる掲示があっても、マスコミ関係者など例外を許容している場合もあり、本件では、事前に大学からマスコミ各社に、時間を指定して立入禁止が通告されていたとのことですが、それが末端の記者にどこまで周知されていたかも、故意の有無に関わります。
明確な承諾がなくても、推定的承諾、がある状況なら故意はないし、その点で誤信があっても故意は認定できません。
記事によると、記者が隠し録音をしていたとのことですが、そうであって、しかも、立入前からそういう意図を持っていたのなら、そういう人物に立入を許可することはあり得ない、という構成で、侵入や故意が認定される可能性はあるでしょう。
なお、現行犯逮捕の必要性も問題になっていますが、声をかけたら名乗らず逃げようとしたのであれば、必要性は肯定される可能性が高いと思います。ただ、私人逮捕の場合、逮捕者が私人であるということで、逮捕の必要性までは要件としないのが通説だった気がしますので、そうであれば、この点は問題にならないことになります。
マスコミ関係者、高級官僚、弁護士、といった人々についての刑事処分は、地検のみでは決められないはずで、札幌高検の決裁を経て決めることになるでしょう。印象としては起訴猶予事案かな、という気はします。