「五・一五事件ー海軍青年将校たちの「昭和維新」(中公新書)」

 

今春に出た本ですが、私自身、五・一五事件についてはほとんど何も知らないという自覚があったので、早速、Kindleで落とし、最近、読了しました。

五・一五事件が、より大掛かりなクーデター計画が検討、計画される中で、結局、テロ事件となった経緯に興味深いものがありましたし、事件後、法廷での被告人らの言動がセンセーショナルに取り上げられ、幅広い国民の共感、同情を呼んだこともあり、現職の首相殺害という重大事案でありながら死刑判決が出た被告人はおらず、全体として寛刑に終わった、その経緯にも考えさせられるものがありました。

社会の矛盾や貧困が存在する限り、クーデターやテロに訴えてでも変革を図ろうという動きが根絶されることはないでしょう。日本における今後のこの種事案が生じる可能性や対策を考える上でも、五・一五事件の持つ重要性や歴史的意義は、今後も変わらず参考になるものとして存在し続けるだろうと感じました。