NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の影響もあって、明智光秀関係の書籍が多く出ていますが、この本では、当時のイエズス会宣教師らの目を通して見た織田信長や明智光秀、情勢という観点で考察されていて、いろいろと考えさせられるものがありました。
私自身が感じるのは、この本の中でも指摘されているように、明智光秀が、織田信長に「誅殺される」と強く思ったことが本能寺の変の大きな動機であったのではないかということでした。独裁者というのは気まぐれであり、いつ気まぐれから粛清されるかわからないというのは今でも変わりません。既に指摘されているような織田信長と明智光秀との様々な軋轢、また、本能寺の変の少し前に、明智光秀の妻の妹とも言われている織田信長側室の「御妻木殿」が亡くなり両者を調整する者がいなくなったことで、「誅殺される」という明智光秀の疑心暗鬼が頂点に達した、それが本能寺の変へとつながったのではないかと思えるものがあります。
時間を置いて、またじっくりと読んでみたいという読後感でした。
