熊谷6人殺害、二審は無期懲役 ペルー人被告「心神耗弱」 一審死刑破棄・東京高裁

熊谷6人殺害、二審は無期懲役 ペルー人被告「心神耗弱」 一審死刑破棄・東京高裁(時事通信) - Yahoo!ニュース

大熊裁判長は判決で、被告は犯行時、統合失調症が悪化した状態で、「スーツの男が危害を加えるため迫っている」との妄想を抱いていたと指摘。被害者を「追跡者」とみなして殺害した可能性が否定できず、「妄想がなければ繰り返し殺人を犯す状況になかった」と述べた。
一方、被告が金品を入手したり、証拠隠滅したりしていたことなどを挙げ、「自発的意思も一定程度残されていた」とし、弁護側が主張した心神喪失状態だったとまでは言えないと結論付けた。

 統合失調症責任能力へ及ぼす影響の評価については、いろいろな考え方がありますが、実務上は、統合失調症による妄想に支配された状態での犯行であれば責任無能力、そこに至らない場合、妄想が影響した程度により完全責任能力心神耗弱(限定責任能力)かを、具体的状況に応じて判断する傾向にあると思います。

報道を見る限りでは、責任の程度を断定はできませんが、妄想が一定の影響を及ぼしていたことは事実のようであり、その評価において、完全責任能力を認めた原審と、控訴審の判断が分かれたということでしょう。

遺族は、死刑判決が覆ったことに大きく不満と思いますが、現状の無期懲役刑では、30年未満の服役で仮出所する可能性は皆無であり、犯行の経緯、状況や統合失調症の完治が困難であることから見て、事実上の終身刑になる可能性が高く、処罰として不十分であるということにはならないように思われます。

この種の犯罪の未然防止のため何ができるかということを、改めて考えさせられます。