娘と性交、無罪判決の衝撃 「著しく抵抗困難」の壁:朝日新聞デジタル
「抗拒不能」は「意思決定の自由を奪われ、抵抗することが困難な状態」といった意味。耳慣れない言葉だが、準強制性交罪の要件だ。日本の刑法は「同意のない性交」だけでは罰せず、「暴行または脅迫」を加えて性交した場合は強制性交罪(旧・強姦(ごうかん)罪)に、「心神喪失または抗拒不能」に乗じた場合は、準強制性交罪が適用され、刑の重さは変わらない。さらに、罪が成立するためには、被害者の抵抗が「著しく困難」になるほどの「暴行・脅迫」や「抗拒不能」が必要だと解釈されてきた。
最近、法務省が、準強姦罪、準強制わいせつ罪の過去裁判例をまとめたものがネットに出ていて、読みましたが、
かなり微妙なものもあり、事実認定の難しさを痛感するものがありました。
抗拒不能という要件は、被害者側に厳しいものになっていて、刑法の立法者は、抵抗できた被害者は保護の範囲外に置く意思だったのだろうと思います。しかし、抵抗できたという安易な認定は、保護すべき被害者を保護しないことにもなります。やはり、お蔵入りになった改正刑法草案にあった
第301条 身分、雇用、業務その他の関係に基づき自己が保護し又は監督する18歳未満の女子に対し、偽計又は威力を用いて、これを姦淫した者は、5年以下の懲役に処する。
といった規定を、そのままではないにしても何らかの形で導入して、同意がない性行為での被害者の保護をより手厚くしないと、処罰すべきものが不問に付され、国民の納得が到底得られないのではないかと感じます。
現在の性犯罪の実情や国民感情に沿った、思い切った改正を行って、被害者保護に向けて大きく舵を切る時に来ていると思います。