東京医科大幹部ら入試加点に関与 受託収賄

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その後の関係者への取材で、東京医科大学のトップクラスの幹部ら複数人が、幹部としての裁量で佐野容疑者の息子の点数を加算していたことがわかった。特捜部は大学関係者への聴取を行い、全容解明を進めている。

昨日にこの事件で逮捕者が出て、マスコミ関係者からの取材、質問もあったのですが、「賄賂」というのは、「人の需要、欲望を満たすに足りる一切の利益を含む」というのが確立した解釈、判例で、異性間の情交のようなものも含みますから、「裏口入学の利益」も含むというのが素直な解釈でしょう。
それは、子供の利益であって親の利益ではないという反論はあり得ますが、贈収賄罪の保護法益(法により守られるべき利益)は、職務行為の不可買収性、職務行為の公正といった社会的法益であり、賄賂とは何かについてもそういった法益の観点から考えられるべきですから、公務員の近親者の裏口入学の利益というものは、社会通念上、公務員本人の利益と見られることになるでしょう。子供を良い学校に入れたい、医学部に入りたいと希望しているので入れてやりたいというのは、ごく普通の、人としての需要、欲望ですから、そこが満たされている以上、子供の裏口入学も賄賂と考えるのが自然です。
私が、実務的に気になるのは、そういった賄賂性は肯定されるとしても、本件における公務員本人の賄賂性の認識がどうかということです。子供の入試でよろしく頼む、わかりましたといったやりとりがあっても、それが、点数をかさ上げしてくれとか、できないことをやって無理に合格者にねじ込んでくれといった認識が取れないレベルであれば(できることをできる範囲でよろしく頼む、ということであれば、公務員側が知らない間に予想を超えた不正が行われても、賄賂性の認識があるとは言えないでしょう)、「賄賂を提供された」という認識(故意犯ですからそこは必要になります)に問題が出てくる可能性はあると思います。特捜部としては、収賄側の逮捕前に、そういう問題意識も持って捜査を詰めてきているはずですが、今後、収賄側の供述も得つつ、そこは更に詰める必要があるように思います。
現ナマをポンと渡した、といったケースではないだけに、今後の捜査の行方は注視する必要があるように思います。