https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170422-00000003-asahik-soci
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案について、政府は21日の衆院法務委員会で、テロなどの犯罪計画の疑いがあれば「準備行為」の前でも捜査できるとの見解を示した。
捜査というのは、これから真相を解明しようとして行うもので、本質的にそういう性格を持っている以上、捜査発動の条件である「犯罪の嫌疑」を考える上で、成立要件のことごとくが目に見えて満たされていることは、そもそも無理がありますし、全体として、ざっくりとした嫌疑というものが考えられる、そういう性格を持っています。
準備行為の「前でも」捜査できるというより、おそらく、共謀の嫌疑があり、また、準備行為が行われた嫌疑があれば捜査権力は発動可能ということであって、捜査してみた後に、起訴できるだけの証拠は収集できませんでした、ということになっても、嫌疑があって捜査したことが遡って違法ということには必ずしもなりません。
そういう論法に基づけば、あくまで上記のような嫌疑が存在すれば、任意捜査だけではなく強制捜査も可能ということになるでしょう。裁判官が令状を出すに当たっては、嫌疑は、あくまで嫌疑であって有罪判決を出すわけではありませんから、ざっくりと判断するものであり、およそ準備行為があり得ないような事情があればともかく、捜査機関が揃えた疎明資料で準備行為についても存在の嫌疑があれば、令状は出るでしょう。その辺が現行の令状制度の怖いところでもあります。
共謀罪というものには、そういう危険性もあるということは厳然たる事実として認識しておく必要があると思います。