テロ等準備罪「監視」か「抑止」か 分かれる賛否

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170615-00000060-mbsnews-soci

日本の刑事法では原則、犯罪を犯した後に処罰されますが、テロ等準備罪は277の対象犯罪について組織的犯罪集団が犯罪を計画し、一定の準備行為をした段階で処罰できるとするものです。
反対派の弁護士らは、「捜査機関が計画を探すために一般人まで過度に監視することになる」と主張しています。

共謀罪は、何を処罰するかに関する「実体法」分野のもので、どのようにして証拠を収集するかという手続法に関するものではなく、共謀罪の存在が、直ちに「過度な監視」にはつながらないでしょう。ただ、犯罪が内心にとどまる段階から、共謀(計画)→予備→実行の着手→結果発生と流れる、予備の前の段階を従来以上に幅広く処罰対象とするものですから、従来以上に、「緩い嫌疑」の段階で捜査対象になる、そういう余地も必然的に広がることになるでしょう。実際問題として、テロを含む組織犯罪を計画段階で検挙するのは、精度の高い情報がなければ至難の技で、緩い嫌疑で捜査対象になる、そのほとんどは、起訴できない、立たない事件になる恐れが多分にあるのではないかと、私は自分自身の実務経験にも照らしつつ危惧しています。事件というのは、頭の中だけ、机上だけで考えているようにはなかなか進まないもので、一旦、捜査が暴走、迷走し始めれば何が起きるか、多くを語らなくても自明なものがあるでしょう。
ただ、成立した以上は、成立したことを前提に今後を考える必要があり、国民全体が、共謀罪がそのような暴走、瞑想しないように、問題意識を持って見る必要があると思いますし、適正、厳格適用ということを、捜査機関だけでなく裁判所もきちんとわきまえておかねばならないと思います。