徹底抗戦

徹底抗戦

徹底抗戦

話題になっているようですが、早速、アマゾンで購入して読んでみました。
第一印象としては、上告審係属中という事情によるということもあったようですが、薄くて物足りないな、ということでした。有罪判決に不満があり自分は無罪である、ということを著書で世に問いたいのであれば、事実ではない、知らなかったというだけでなく、地裁、高裁で合計6名の裁判官が膨大な証拠に接した上で有罪、実刑判決が出ている、その理由、根拠について、それがなぜ間違っていて自分は無罪なのか、ということを、もっと説明しないと、読者としてはもやもやとしたものが残ります。「この程度の説明しかできないのか」と感じる人もいるでしょう。
この本は、一種の「国策捜査批判本」の系譜に連なるものになると思われますが、捜査の動機に不純なものがあったり、立件できる複数の事件の中での取り上げ方に偏頗なものがあったとしても、起訴され、公判を経て、有罪となり、それが高裁判決まで出ている段階に至れば、その中で積み重ねられてきた「証拠の重み」というものはかなり大きなものがあって、堀江氏としては、それは上告審で徹底的に争っていると言いたいのかもしれませんが、こういった薄めな著書を出すことで、堀江氏側の主張とか反証の薄さ、乏しさということを感じる向きもあるのではないか、という印象も受けました。
いずれにしても、上告審の結論も、それほど遠からず出るはずで、そこで司法による最終的な判断が示されることになります。
堀江氏のような、通常の社会生活を営む企業経営者が、突如として逮捕、勾留され、特捜部による苛烈な捜査の対象になった場合の、対象になった側の苦労、困惑、怒りといったことは、薄い中にもよく出ていて、私としては、むしろ、その点について興味深く読めた1冊でした。