コストコのスロープ崩落、建築士に逆転無罪判決 高裁

http://www.asahi.com/articles/ASJBF4TK4JBFUTIL01P.html

控訴審で弁護側は、「前任者を通じて、つなぎ目の変更が前提であることを伝えていた」として無罪を主張していた。

この種の事件は、特殊業務上過失事件(特殊業過)と言われ、交通事故のように(かつては一般業過と言われましたが現在は刑法の業務上過失致死罪とは切り分けて処罰されています)過失を定型的、類型的に見ることができず、事件ごとに何が過失であったかを見極める必要があります。複数の人物が関わっていると、その中の誰の過失を問ううべきか、悩ましいことが多くなり、また、複数の人物の過失を問題にする場合、過失が競合しているのか、あるいは過失犯の共同正犯なのか(共同正犯と捉えることは稀ですが)、判断も必要になります。この人物のここが過失として問われるべきだ、ということを、捜査のかなり早い段階で見極めた上で捜査を的確に進めないと、ポイントを外してしまい、また、調書の取り方も的外れになってしまうことになって、いかにうまく見極めるかが非常に重要になりますし、私も、かつて検察庁にいた当時、捜査、公判でこういった事件を担当して、随分と頭を悩ませつつ取り組んだ経験がありました。
有罪、無罪の当否は、証拠を見ていないので何とも言えませんが、そういった自分自身の経験に照らし、記事を読みつつ、どの人のどういう過失を捉えるかという、その見極めが捜査できちんと行われていたのか、疑問に感じるものがありました。