刑執行の津田死刑囚「極刑を覚悟」 裁判員「重い決断」

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公判での説明では、元軍人の父親に幼い頃からしばしば理不尽な暴力をふるわれ、川に何度も放り込まれるなどした。中学校を卒業後、入れ墨の彫り師などとして働いた。法廷で読み上げられた調書では、「人を殴ることにためらいがない。すぐに切れて相手をノックアウトするまでやってしまう」と述べていた。
審理では複数の遺族が出廷。厳しい言葉で死刑を求めた。

大学3年生の時に、初めて受けた司法試験論文の刑事政策で、出た2題中の1題が、死刑制度について問うもので、その当否を複数の論点について書いて、結論は制度存続に賛成とした記憶があります。その後、検察庁在籍当時も現在までも、死刑求刑、判決が出るような事件に関わることはなく、今、死刑制度について意見を聞かれると、正直、わからないというのが率直なところです。
刑事事件をいろいろと取り扱ったり見たり聞いたりしていると、命をもって償うしかないような重大な事件というものもあるのは確かですし、上記の記事にもあるような遺族の感情も十分に尊重される必要があり、また、刑罰制度を支えるのはその国の国民の意思、感情でもあって、死刑存続賛成派が多数を占める日本において、直ちに死刑廃止へと進むことには困難さを感じざるを得ません。
ただ、上記の死刑囚のように、恵まれず暴力にさらされた生育歴が、問題のある人格形成や凶悪事件へとつながったという例は少なくありませんし、事件や裁判の後に驚くほど改善される死刑囚も存在します。そういった死刑制度を取り巻く種々の事情(世界的には死刑廃止の流れが主流となっていることも含め)を踏まえつつ、例えば死刑確定後に恩赦等で見直すようなことも含め、今後もきめ細かく慎重な検討を継続しなければならないと、改めて感じています。