http://www.j-cast.com/2014/07/04209658.html?p=all
事務所側は被害届の提出を検討していたが、警視庁サイバー犯罪対策課と原宿署から、「被害を受けた」のはツイッター社であるため高城さんは被害届を出せないと指摘されたそうだ。ツイッター社も提出を見送ったため、これで「決着」してしまった。ウソの投稿をばらまかれて直接迷惑を受けた高城さんが「被害者」と認定されないのは、どうも釈然としない。
上記の記事の中でも、なぜ、そうなるのかが説明されていますが、不正アクセス禁止法2条4項では、
4 この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
とされていて、「アクセス制御機能」については、2条3項で、
特定電子計算機の特定利用を自動的に制御するために当該特定利用に係るアクセス管理者によって当該特定電子計算機又は当該特定電子計算機に電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機に付加されている機能であって、当該特定利用をしようとする者により当該機能を有する特定電子計算機に入力された符号が当該特定利用に係る識別符号(識別符号を用いて当該アクセス管理者の定める方法により作成される符号と当該識別符号の一部を組み合わせた符号を含む。次項第一号及び第二号において同じ。)であることを確認して、当該特定利用の制限の全部又は一部を解除するもの
とされている関係で、不正アクセス行為の被害者は、あくまでアクセス制御機能の主体である「アクセス管理者」であり、利用権者(特定電子計算機の特定利用をすることについて当該特定利用に係るアクセス管理者の許諾を得た者)ではない、という構造になっていると理解されています。
利用権者も「利用権侵害」として被害があったと考える余地もありますが、利用権者から被害届を取っても、肝心のアクセス管理者が、「うちは被害にあっていません」と捜査協力しなければ証拠が得られず立件できないので、現在の実務では、上記のような取扱にされているのが実状です。
利用権者の「被害」が、警察からの情報で明確になっていて被害申告が存在していれば、アクセス管理者も、そのような実態にかんがみ捜査協力する、ということも検討されるべきではないか、それが今後の再発防止にもつながるのではないかと、私は以前から考えています。