http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140107-00000046-mai-soci
弁護士と接見中に逃走したとの情報がある。
先ほど、テレビのニュースを見ていたところ、検察事務官と警察官が立ち会い、弁護士と接見していたところ隙を見て逃走した、とのことで、接見室(仕切り板越しに接見する構造になっていて容易には逃げられない)ではなく、検察庁内の何らかの部屋で、いわゆる「面会接見」中の逃走であったものと思われます。
面会接見というのは、最高裁の判例により新たに創出された概念、制度で、
接見訴訟:「設備なくても被疑者と面会を」最高裁が初判断
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050420#1113930742
でコメントしたことがありますが、接見室がない検察庁であっても、
検察官が上記の設備のある部屋等が存在しないことを理由として接見の申出を拒否したにもかかわらず,弁護人等がなお検察庁の庁舎内における即時の接見を求め,即時に接見をする必要性が認められる場合には,検察官は,例えば立会人の居る部屋での短時間の「接見」などのように,いわゆる秘密交通権が十分に保障されないような態様の短時間の「接見」(以下,便宜「面会接見」という。)であってもよいかどうかという点につき,弁護人等の意向を確かめ,弁護人等がそのような面会接見であっても差し支えないとの意向を示したときは,面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務があると解するのが相当である。
とされていて、最高裁が「面会接見ができるように特別の配慮をすべき義務」の存在を言っていることから、そのような面会接見が行われていたものと推測されます。
検察庁の中には、東京地検のように、建物内に接見室が設けられているところもありますが、元々、検察庁で弁護人が接見することを予定せず建てられた建物が多く、新しくない検察庁庁舎(横浜地検川崎支部も、私も行ったことがありますがかなり古い建物です)では接見室がないのが普通です。そうであるからこそ、上記のような最高裁判例が出てきたわけですが、場所が接見室(その場合、仕切り板の向こう側にいる被疑者は、厳重に隔離、施錠された留置エリア内から接見室に入ってくる構造になっていて、そこからの逃走はほぼ不可能です)ではないことから、戒護には問題が生じがちで、本件でも、検察事務官と警察官が立ち会っていたということですが、現に逃走という結果が生じている以上、戒護態勢に問題があったと言わざるを得ないでしょう(先ほど見たニュースでは、部屋のドアが施錠されていなかったとのことでした)。
こういった面会接見が行われる上で、今後、注意喚起のため参考にされるべきケースではないかと思います。