巨大津波――その時ひとはどう動いたか

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

巨大津波――その時ひとはどう動いたか

以前に、NHKスペシャルで放映されたのをたまたま観て、強く印象に残っていたのですが、書籍化されたことを知り、読んでみました。映像では描き切れなかった、様々なエピソード等が書き込まれていて、かなり興味深い内容でした。
被害日本大震災による巨大津波で甚大な被害を受けた名取市閖上地区で、津波に襲われるまで人々がどのような動きをしたかが克明に再現されていて、こういった大災害時に人が何を考えどのように動くのかについての、貴重な資料になっていると感じました。
安易に教訓を引き出すのは慎むべきだと思いますが(慎重に分析され確固とした教訓が導き出されるべきでしょう)、感じたのは、こういった危機的な状況で正確な情報が提供される必要性とともに、そういった情報が提供されても人の正しい意思決定に結びつかなければならず、そのためには、情報をいち早く受容し正しく理解して人々を導くリーダー的な人物が必要であるということを痛感しました。その地域社会でそういったリーダー的な人物が得にくければ、スマートフォンなどを利用して人々が緊急時に依拠できるような、信頼できる情報源(単に情報を提供するだけでなく何をすべきかを指し示すことができる)を、日頃からきちんと作っておくべきではないかと思いました。
単に、スローガン的に災害への対処を呼び掛けるのではなく、こうした貴重な実例を踏まえた、実効性のある災害対策を進める重要性を痛感しました。