福井中3殺害 再審取り消し 検察の異議認める

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013030690135356.html

決定は、弁護団が凶器とされた包丁では付かない遺体の傷があると指摘した点を、「解剖時の計測上の誤差」などと退けた。逃走に使ったとされる乗用車に知人供述通りの血液反応が出なかったことも、「弁護側の再現実験は当時の状況と著しく異なり、供述の信用性を揺るがすものではない」と判断した。いずれも検察側の反論を採用した。

有罪の根拠となる供述をしたのは、被害者や前川さんの仲間たちだ。別件で逮捕されたリーダー格の元暴力団組員が「前川さんから犯行をほのめかされた」などと述べ、複数の仲間が追随した。
供述した一人は本紙の取材に「自分の覚せい剤容疑を見逃してくれると警察に言われ、うその証言をしてしまった」と話している。供述が出てきた背景も含めた慎重な捜査が必要だった。

この件については、先月、取材を受け、その際に、再審を認めた決定書も一通り読んで、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20130221#1361446832

異議を認容する、棄却する、どちらでも書ける証拠関係ではないかと思います。あとは裁判所の、全証拠に接した上での心証次第でしょう。
それ故、異議審の結論については予断を許さないものがあり、弁護人としても楽観は禁物ではないか、と見ています。

とコメントしたのですが、微妙さの中で、元被告人、弁護団にとっては厳しい方向に転んでしまった、ということになりました。こうした判断(再審を認めない)は、出る可能性があると考えていましたから、最初、このニュースを聞いた時は、やはり、という印象でしたね。
上記のエントリーで指摘したように、本件の証拠構造自体が、再審を阻んでいる面があると思います。弁護団は、供述の変遷を強調してきているようですが、変遷しつつも複数の供述が、元被告人を犯人と指し示している、ということを、根底から崩さないと、再審は難しいのではないかという気がします。その意味では、上記記事にある、「供述が出てきた背景」に、再度、注目して立証を図ることも検討するべきではないかと思います。