PC遠隔操作:容疑者の勾留理由開示 犯行を否認

http://mainichi.jp/select/news/20130227k0000m040021000c.html

容疑者は「私は遠隔操作事件の犯人ではない。どうか無実と分かってください」と改めて否認したが、岩田裁判官は罪証隠滅や逃亡のおそれがあるとして「勾留には相当の理由がある」と認めた。

勾留理由開示という制度は、刑事訴訟法に規定があり、勾留されている被疑者や弁護人から請求があれば、裁判官が公開の法廷で勾留の理由を明らかにしなければならない、というもので、これにより身柄の取扱いへの慎重さや再考を求める、というのが本来の制度趣旨ですが、実際は、公開の法廷へ被疑者が出廷することにより、家族や関係者が傍聴席にいてそれを見た被疑者が勇気づけられたり、公開の場で被疑者や弁護人が主張を述べることで正当性を強くアピールする、そういう目的の下で進められる、というケースが多いですね。かつては多用されていた時期もありましたが、最近は、時々行われる、という状態で、かつてのように、法廷が荒れたり退廷者が続出する、といった勾留理由開示は、ほぼなくなりました。
検察官は、出席する場合としない場合があり、出席しても、検察官が意見を述べるという場ではそもそもなく、また、下手なことを口走れば法廷が無用に荒れかねないので、黙って座っているのが普通です。今日の法廷でも、出席はしたとのことですが、特に発言はなかったようで、それが普通です。余談ですが、私の先輩検事は、公安事件で勾留理由開示に立ち会い、終わって廊下に出たら、支援者に、「検事だ!」と追いかけられ、走って逃げた、怖かった、と言っていました(笑)。
報道によると、被疑者も弁護人も、主張を強く述べた、とのことで、これだけの注目を集めていますから、上記のような目的は達成されたと言ってよいのではないかと思います。