ネットを使った選挙運動は公職選挙法でなお禁止されている。1950年施行の同法がネットを想定していないためだ。ホームページの更新が禁止行為の「文書図画の頒布」(142条)にあたるとの旧自治省(総務省)が96年に示した見解が根拠だ。ブログ、動画投稿サイト、SNS(ツイッター、フェイスブック)が登場した後も維持されている。
元検事の落合洋司弁護士は「投票依頼をしなければいいというものではない。一般的な政党の考え方の表明であっても、具体的な状況によっては選挙運動にあたることもあり得る」と指摘。公職選挙法については「判例があるわけでもなく、総務省の解釈には無理がある。総務省は公示前にネット上に公開されていた文書については、公示後に改変しなければいいとしているが、文書は印刷や閲覧が何度でも可能で、厳密には頒布と同じだ。適法と違法が線引きされずに放置されていることが問題だ」と話している。
日本の公職選挙法は、規制の在り方が複雑で、戸別訪問のように、過去に違憲判決が出たこともありながら今なお維持されている規制もあるなど、時代や国民の意識に合わなくなってきている面も多々あって、インターネットの活用を可能にすることを含め、全面的な見直しが避けられないのではないかと思います。公選法では、「選挙運動無償の原則」といった、金が動くことを忌み嫌うような傾向がありますが、票を金で買うような行為は論外としても、人が様々に動けば動いたこと自体にお金がかかるのは自明のことで、米国のように、原資となる資金は、幅広く浄財を集めるような制度にして、その収支を明確にさせつつ、選挙に関し、現実、実態に合った支出は適法として認める、といった制度にする必要があると思います。それと同時に、お金をかけずに済むよう、インターネットを利用した行為は大幅に解禁すべきでしょう。
そういった議論をセずに、従来の枠組みに固執して、インターネットも「際物」視するようなことでは、いつまでたっても大きな、未来へつながる展望は開けてこないでしょう。