ソーシャルゲームが抱える潜在リスク 「射幸心」あおる仕組みとは

http://goo.gl/KaPdN

ソーシャルゲームの場合、お金を支払って、ガチャを引く権利を得て、アイテムやカードを得る。ユーザーがレベルアップして強くなるためには、ガチャを何度も行う必要がある。強力なレアカードを獲得するためには、高額なガチャを何度も引かなければならない。
また、レベルの低いカードでも、そのカード同士を一定数集めて「合成」すると、強いカードを得ることができる。レベルの低いカードでも、ゲームを有利に進めることができるような仕組みにしているのが普通だ。

ガチャはパソコン用のアイテム課金式のオンラインゲームで2005年頃に生まれ、日本国内で急速に普及した。熱中するとレアなアイテムを獲得しようと多額の金額を使ってしまう傾向がある。

ソーシャルゲームで「カード」と呼んでいるものは、物理的なカードと異なり、一種のデータに過ぎない。このため一つのカードを制作するコストはゼロに近い。それを何度も引いてもらえば、大きな収益につながる。さらに登場確率をコントロールすることで、射幸心をあおりやすいゲームデザインへと向かい始めている。

近く、この問題に関する取材を受けることになっていて、いろいろと調べていたのですが、上記の記事はなかなかよくまとまっていて参考になる内容と思いました。
刑法上の賭博罪が成立する可能性はないかと考えてみたのですが、同罪の成立要件は

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050127#1106836710

といったものであるところ、上記の「ガチャ」のような形態では、偶然に左右される事について、ユーザーが財物(現金)を提供して、というところまでは肯定できそうであるものの、その結果としてユーザーが財物を獲得する、という点が満たされず、賭博罪の成立は難しいだろうとは思いました。ただ、こうしたゲームにより獲得したポイント等が、RMT(リアル・マネー・トレード)という形態で換金性が高くなれば、ユーザーが実質的に財物を取得している、限りなく賭博に近くなる、という評価は、十分あり得るのではないかと思います。
そういった評価が強まれば、このような賭博同然のものを放置しておけない、特に18歳未満の者が食い物になるのは許し難い、法規制が必要、ということになってくるのは、日本という社会では必然的なことで、サービス提供者側の危機感にも、おそらくかなりのものがあるでしょう。法規制の手法としては、例えば、地方自治体による条例(青少年保護育成、のカテゴリー)で、「有害」認定されたゲームは18歳未満の者にはサービス提供できないとする(違反には刑事罰をもって臨む)など、その気になればいろいろとあると思います。警察当局としても、オンラインならパチンコ以上の射幸心をあおるゲームがやりたい放題、という状態を放置できないと考えている可能性は高く、例えば、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる風適法)を改正し、この種のオンラインゲームをざっくりと規制対象に加える、という方向で進むことも、あり得ないわけではないでしょう。
具体的な弊害が続出している現状の下、こういったサービスが曲がり角に差し掛かっているのは間違いなく、権力による介入、規制、取り締まり、といった事態を回避できるかどうか、業界全体がその瀬戸際にある、と言っても過言ではないでしょう。