【「食べログ」で順位操作】識者談話

http://www.47news.jp/47topics/e/224260.php

元検事でネット上のトラブルに詳しい落合洋司(おちあい・ようじ)弁護士の話 食べログは飲食店の利用者が感想を書き込むことで成り立ち、店に対する評価の信頼性が維持されている。いわゆるサクラ(請負業者)が対価を受け取り、店にも行かずにその評価を組織的に上げるビジネスモデルなのであれば、データの信頼性を損なわせるため、運営会社に対する偽計業務妨害罪に問われる可能性がある。サクラが店に行き、悪い評価をつけることもあるなど、実態が伴っているかどうかで違法性の線引きは微妙になってくるが、少なくとも利用規約には違反していると言える。

先週後半は、食べログで、私の周囲は騒然とした状態になり、前に1回出て、もう2度と出ることはないだろうと思っていたNHKニュース7にまで登場してしまいました。まだお正月が尾を引き、いつも出てくる有名どころが、まだ東京に戻って来ていなかったのか、しがない弁護士の過剰な出番になってしまったような気がします。
それはさておき、この問題は、犯罪の成否、といった観点だけで見るべきではなく、インターネット社会において、この種の「口コミ」が果たす大きな役割や重要性、そうであるにもかかわらず、情報操作が容易にできてしまい、操作された情報により不特定多数の人々に大きな誤認が簡単に生じてしまう、ということを、幅広く問題にすべきではないかと思います。
これを情報の出し手と受け手の両面で考えると、口コミサイトのようなサービスを運営する側(出し手)では、情報操作の危険性を常に意識して、100パーセントは無理でも、その悪影響をできるだけ抑え込む方策を講じるべきで、そのためには、店舗(サクラを利用するような店舗ではなく善良な店舗)や個々の利用者の協力も得る必要があり、例えば、通報ボタンのようなものを設け不審な投稿について幅広く情報提供を受けるのも一計でしょう(ただ、この方法にも、いたずらを含め多数の情報が寄せられ対応に追われることになる、といった危険性もあります)。
一方、情報の受け手の側にも、インターネット上で流れる情報を鵜呑みにしない、ネット・リテラシーの涵養ということが求められるでしょう。口コミというものが本来的に有する不確かさや曖昧さにも思いを致しつつ、特定のサイトの特定の情報で断定的な心証を取るのではなく、複数の情報源に当たり、クロスチェックをかけ、誉め過ぎ、叩き過ぎの可能性も念頭に置きながら、主体的に判断するということが、口コミサイトに限りませんが、利用する際には求められると思います。
口コミサイトは、製品やサービスの選択の上で、とても役立つもので、この食べログ騒動で、口コミサイトというものはいい加減で使えない、といった、極端な見方が広まるのは避けるべきでしょう。多くの人の協力で、こういったサイト、サービスが、より役に立つ、有益なものとして伸びて行くように、皆で考えて行きたいものだ、というのが、私の率直な気持ち、感想です。