PTSD治療の専門家、東北で20人足らず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110501-00000806-yom-sci

防衛医大精神科の重村淳講師は「今回は被災者と救援者の数が膨大。患者が数千人に上る恐れがある」とみる。
治療では抗うつ薬などが使われるが、効果があるのは患者の2〜4割程度とされる。国際的に有効性が確認されているのが、心理療法の「暴露療法」。医師らが患者の恐怖体験を引き出し、安心感を与えながら恐怖心の克服に導く。武蔵野大学人間関係学部の小西聖子教授によると、経験豊富な治療者が行うと、3〜4か月で7割の患者の症状が大きく改善するが、こうした治療者は日本中で20人未満で東北地方にはいない。

私自身、この分野に詳しいわけではないのですが、日本全国でも、PTSDの治療で高い専門性を持つ医師は、まだ多いとは言えないのではないかと思います。
今後は、上記の記事で紹介されているような熟達した治療者をローテーションを組んで被災地に派遣したり、ITを活用した遠隔診療を取り入れるなどして、できるだけ行き届くような治療体制を構築すべきでしょう。
遠隔診療に、法令上の制約はないかと検索してみたところ、厚労省から、大震災後に、

情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016bx1.html

という事務連絡が出ていて、その中でも、

遠隔診療通知においては、「初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療によること」としながらも、「直接の対面診療を行うことが困難である場合(例えば、(中略)遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難な者に対して行う場合)」については、「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、(中略)遠隔診療によっても差し支えないこと」としている。このため、今般の震災の影響で遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難となった被災地の患者については、初診及び急性期の患者であっても、患者側の要請に基づき遠隔診療を実施して差し支えないものとする。

とあって、上記の要件を満たせば、初診、急性期であっても遠隔診療が可能となっていますから、積極的に遠隔診療の方法も導入して、治療しないまま放置、ということがないようにしてほしいと思います。