ジョブズ追放を悔やむ...当時のアップルCEO、ジョン・スカリー

http://www.gizmodo.jp/2010/06/ceo_4.html

が、インタビューでは、逆の設問、つまり「ジョブズがとどまっていたら、どうなったか?」には触れられませんでした。もしジョブズが追放されなければ、現在の、傲慢なほどに自信満々のアップルが、もっと何年も早く実現したのでは...そう思いたくなる誘惑は確かにありますが、それは無責任な考え方でしょう。ジョブズは10年間もアップルから離れていたのです。もし、ジョブズとスカリーが対立を抱えたままアップルに残っていたら、または、お互いに譲りあっていたら、どうなっていたかなんて誰にもわかりません。
また、追放されたジョブズが、その間にiPodiTunesiPhoneなどの構想を練っていたんだろうとかも、考えるのは面白いんですが、これも非現実的でしょう。当時はジョブズも、というか他の誰も、アップルの10年後、20年後に関して、はっきりしたビジョンは持ち得なかったでしょう。10年とか20年というタイムスケールは、特にアップルのような業界では、大きすぎるからです。

歴史に、もし(if)はない、とはいえ、確かに、スティーブ・ジョブズがアップルにとどまった場合のその後、ということを考えてみるのは、おもしろく興味深いことではありますね。ただ、私が感じるのは、アップルを追われたジョブズが、ピクサーなどで映像の世界に深く関わったことが、ipadを手にした人々が(私も含め)絶賛するような、アップル製品から生み出される映像の美しさに、やはり大きく影響を与えているのでないか、ということで、その意味では、ジョブズが一旦はアップルを追われたことが、その後に大きく生かされたということは言えるのではないかという気がします。ジョン・スカリーは、あまり自分を責めなくてもよいのではないか、という気がするのですが、おそらく、今のこの状況の中、ジョブズをアップルから追い出した男、ということで、どこへ行っても肩身の狭い思いをしているのでしょうね(笑)。気の毒と言えば気の毒ではあります。