逮捕前に事実上の拘束、「帰宅させた」とウソ報告…大阪府警

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20091020-OYO1T00268.htm?from=top

府警は、部屋の使用者で、男性の知人だった焼田被告を同7日、奈良県生駒市の自宅近くから浪速署に任意同行し、夜まで聴取。この日、事件に関する供述は得られなかった。こうしたケースでは通常、帰宅させるが、捜査担当者は「逃亡の恐れはないが、過去に自殺を図ったことがあり自暴自棄になる恐れがある」と判断。被告に口頭で了解を得たうえ、監視役の捜査員1人と同署近くのホテルの同じ部屋に泊まらせたという。
翌8日朝、捜査員がホテルから署に同行し聴取を再開。夕方になり、焼田被告は「室内で殺害し、自分一人で浴室に運んだ」と自供、死体遺棄容疑で逮捕された。
関係者によると、捜査担当者は同課幹部に対し、焼田被告の自供経緯について「参考聴取後、自宅に戻ったが、8日朝にすっきりした表情で署を訪れ、自供に至った」と虚偽の説明をしていたという。
逮捕から数日後、宿泊の事実が発覚し、課内で問題化。同課幹部は読売新聞の取材に、「捜査手法として間違いと言い切ることはできないが、正しかったとも思っていない」とした上で、「公判で供述が証拠採用されない恐れが高いと考え、補充捜査を進めている」と話した。
問題発覚後、事件を担当する捜査班は変更されたが、同課幹部は「秋の定期異動に伴う配置換えで、関連はない」としている。

この種の重大事件で当初の捜査班が変わるというのは、極めて異例のことであり、無理な捜査や虚偽報告の責任を問われ、更迭され、「秋の定期異動」(?)で、元の捜査班のメンバーが散り散りバラバラになって遠いところとか寂しいところなどに飛ばされてしまった可能性が高いでしょうね。
こういった、宿泊を伴う取調べは、かつての高輪グリーン・マンション事件(そのマンションは私の事務所の近くに今でもありますが)の最高裁決定でも問題になったもので、同事件では、警察官が同室に宿泊まではしていませんが、上記の大阪の事件では警察官が同じ部屋に宿泊していたとのことで、無令状のまま実質的な逮捕下に置かれていたものとして、そのような状態の下での自白の証拠能力が否定される可能性が高いでしょう。高輪の事件では、私の記憶では、宿泊について被疑者の同意を書面でとっていましたが(その真意は当然問題になりますが)、上記の大阪の事件では「口頭の了解」ということになっていて、そもそも同意があったのかということも、高輪の事件以上に問題になりそうです。
今時、本部の1課が入っていながらこういう捜査をやっている大阪府警は、一体どうなっているんだと、かなり憂慮されるものがあります。