北政所と淀殿―豊臣家を守ろうとした妻たち

NHK大河ドラマ天地人」でも、淀殿が登場してきていて、今後、関ヶ原の合戦等で、北政所淀殿が登場するものと思われますが、従来の「北政所淀殿の確執」といった、一種の作り上げられてきた(と思われる)イメージには、私自身としても、疑問は抱いていたので、読んでみました。200パージ余りの本ですが、読み始めるとおもしろく、2時間程度で読み切りました。
著者の小和田教授は、北政所淀殿が、連携して豊臣家存続を図っていた、とされますが、読んでみて、北政所については、そこまでの積極性や、活発な活動まではなかったのではないか、という印象を受けました。豊臣秀吉の死後は、北政所の政治力、影響力は衰え、豊臣家の存続を願いつつも、徳川家康の台頭を見るにつけ、秀吉が信長の横死後、織田家を押しやり支配者となったように、徳川家が取って代わろうとしている現実には抗いがたいと考え、何とか徳川体制下で存続できないものかと、心配しながら見守っていた、しかし時代の大きな流れには逆らえなかった、というのが実態に近いのではないかというのが、読んだ後の感想でした。