法曹生活満20年

私が司法修習を終え、検事に任官したのは平成元年4月初めでしたから、間もなく法曹生活満20年を迎えます。法曹としての歩みは、平成の歩みとほぼ重なることになります。
20年のうち、最初の11年余りは検察庁、その後は弁護士に転じ、間もなく、検事生活と弁護士生活が同程度の長さになります。検察庁にいた当時のことは、次第に遠い過去のものになりつつあります。
最近、「しがない弁護士」ということについて、有名ブログを含め、あちらこちらで勝手に話題にしていただいていますが(笑)、市井の片隅で地味に、細々と生きている、ということを言っているもので、他意はありません。確かに、扱う事件、仕事の中には、有名なもの、世間に注目されるものもないわけではありませんが、そういったものはごく一部で、手がける大多数の事件、仕事は、有名ではなく世間に注目されるようなものではありません。しかし、事件、仕事にはそれぞれ顔があり、重要性があります。自分はしがない弁護士ではあるが、そうであるからこそ謙虚に、真面目に物事に取り組む、ということを日頃から心がけなければならないと考えています。
人にはそれぞれ進むべき道があり、向き不向きもあって、入った組織で立身出世するのも人生、組織から離れ、しがなく、細々とであってもいろいろな物事に真剣に取り組み自己実現を図るのも人生で、どういう人生を選択するかは、結局、それぞれの価値観、決断にかかっているでしょう。人生の価値というものは、他人があれこれ言っても、結局のところ、自分自身としていかに満足でき充足感を感じられたか、満足、納得して死ねるかということにかかっているのではないか、という気が、最近、しています。その意味で、私は、自分なりにその時点その時点で進路を選択し、紆余曲折を経つつも現在に至っており、過去を振り返り反省することはありますが、後悔はしておらず、今後も我が道を歩むだけ、というのが現在の心境です。