オウム麻原死刑囚の弁護人、懲戒審査へ 控訴趣意書、期限内に不提出

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080623-00000946-san-soci

弁護士らが本人と意思疎通ができないことなどを理由に平成17年8月末の控訴趣意書提出期限までに趣意書を提出しなかったため、東京高裁は翌18年3月、麻原死刑囚の控訴審を開かないことを決定。同年9月に最高裁で確定した。

弁護士会内では、被告人との意思疎通ができない以上は控訴趣意書、上告趣意書といった書面が書けるはずがない、という意見(感覚的なものも含め)がかなり根強いと思います。その一方で、最高裁をはじめとする裁判所内では、既に1審を経ている以上、被告人側の事情で意思疎通ができない、ということがあっても法律家である弁護士が、記録を十分検討するなどしてそういった書面を作成することは十分可能であり、また、そうすべきだ、という意見が主流でしょう。検察庁は、裁判所に右にならえ、というところだと思います。
そういった、そもそもの対立に加え、控訴趣意書提出を義務視すべきなのかどうか、本件で控訴趣意書を期限内に提出していた場合、果たして被告人にとってより有利な状況になり得たか等々、様々な問題があり、懲戒相当かどうかには、かなり微妙な面もあるように思います。
なお、私自身は、本件の場合、控訴審段階で被告人との意思疎通が困難であっても、一審での問題点や記録を検討することで、控訴趣意書は十分作成でき、期限内に提出できたのではないか、と考えており、自分自身が弁護人であれば、最大限努力して期限内に作成、提出していたと思います。