乳児車中死の両親に有罪判決、重過失致死罪を適用

http://www.asahi.com/national/update/0709/NGY200707090003.html

重過失致死罪を適用した理由について村田裁判長は「生命に危険が及ぶほど車内が高温になるとの認識が被告にはなく、不保護の故意がない」とした。
判決によると、両被告は昨年5月28日午前8時50分ごろ、パチンコ店駐車場に止めた車の後部座席に長男の俐緒(りお)ちゃんを寝かせ、窓をすべて閉めて入店。午前11時から午後1時ごろまでに熱中症で死亡させた。

「不保護の故意」をどこに求めるかによって、結論が変わってくる、かなり微妙な事例という印象を受けます。「生命に危険が及ぶほど車内が高温になるとの認識」が、もしあれば、それは、むしろ、「殺人」の故意と評価し得るものと言えるように思います。起訴罪名は保護責任者遺棄致死であったということで、この種の車内放置事例における死亡に至るメカニズムまで被告人が認識していなくても、反対動機を形成し得る程度まで事実認識、認容があれば、それを「遺棄」の故意と見るべきでしょう。それが何かが正に問題ですが、記事によれば生後2か月の幼児を、午前8時50分ころから車内に放置し、少なくとも午後1時ころまで放置していたこと自体、「遺棄」という事実認識、認容に基づく行為という評価も十分可能ではないか、という印象を受けます(その間、授乳もしていなかった、という点を裁判所はどのように評価したのでしょうか?)。
控訴審における再度の判断を仰いでみてほしい、という印象を受ける事件です。このまま確定した場合、検察庁の今後の事件処理に影響する可能性が高いのではないかと思います。