日本弁護士連合会「共謀罪に関する勉強会」(2007年6月13日・霞が関弁護士会館)

昨日の午後6時から、上記の勉強会があり、参加してきました。約2時間でしたが、浅田教授(大阪市立大学)、松宮教授(立命館大学)、海渡弁護士から、この問題の現状や最新の問題点などについて説明があり、その後の質疑応答も含め、大いに参考になる内容でした(参加者が意外と少なく、もったいないことだと思いました)。
現在、自民党法務部会内の「条約刑法検討に関する小委員会」から、「テロ等謀議罪」として内容を修正する修正案が出されている状況です。
私が質問した2点のうち、1点は、修正案の中で、「具体的な謀議を行い、これを共謀した者」とある、「具体的な」という要件が、犯罪成立要件を厳格化する役割を果たし得るものなのか、従来の、批判が強い共謀概念(特に近時の最高裁によるもの)であっても「具体的な」共謀ありとされるのであれば、具体的という文言は無意味ではないか、ということでした。この点については、私と同様の問題意識が、既に検討の中で持ち出され批判されている、といったことが紹介されていました。
また、上記小委員会の修正案中で、「組織的な犯罪集団」について、「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第1又は別表第3に掲げる罪を実行することにある団体をいうものものとする。」とされていますが、2点目として私が質問したのが、以前から問題となっている、市民団体等が「組織的な犯罪集団」認定を受ける危険性が、これで排除されたのか、ということでした。私が懸念しているのは、例えば、環境保護団体等で、第1次的な「共同の目的」が環境保護等の適法なものであっても、何らかの犯罪の嫌疑がかかったような場合に、第2次的な共同目的として、「本来の目的達成のため、あるいは目的不達成阻止のため、違法行為も辞さない」といった認定を受け、本来、法が予定しないような団体にまで「組織的な犯罪集団」の網が、一種の「投網」のようにかかってしまうのではないか、ということです。この点についても、出席者から、「団体」認定が先行し、その団体における共謀が問題になる、というよりも、共謀認定の中で「組織的な犯罪集団」性も認定されてしまうのではないか、その意味で、団体の要件により適切な絞りはかけられないのではないか、といった疑念が出されていました。
この問題について、やや世間の関心が低下している面もありますが、様々な問題が積み残されていることを改めて実感させられた、有意義な勉強会でした。