朝鮮総連・集会での日比谷公園使用許可、都が取り消し

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070227i205.htm

都によると、1月25日に朝鮮総連側から公園の使用許可の申請があり、使用料を受け取ったうえで、いったんは使用を許可。しかし、都や公園を委託管理している業者に対し、右翼団体などから抗議が相次いだことから、都は26日、「集会が開催されれば一般の利用者も巻き込み、大きな混乱になる可能性がある」と判断し、取り消しを決めた。

朝鮮総連をかばう気はありませんが、過去の同種事例で、憲法上保障された表現の自由や集会の自由との関係において、今回のような措置が問題になったことがあり、違法とされたケースもあったと記憶しています。
上記のような「大きな混乱になる可能性」が、どこまで具体的に認定でき、許可取り消しを正当化できるか、が問題になるでしょう。
なかなか微妙な問題であり、朝鮮総連側は東京地裁に仮処分を申し立てた、とのことですから、裁判所の判断が注目されます。

追記1:

日比谷公園の使用許可、東京地裁が総連側の主張認める
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070228-00000406-yom-soci

たまたま、昨日購入した最新版の

別冊ジュリスト No.186 憲法判例百選1

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でも紹介されていましたが(88事件、なお、執筆者の川岸先生は、私と同じ年の昭和61年に司法試験に合格し、司法修習するか大学に残るか検討した結果、大学に残ったという方です)、最判平成7年3月7日が、この件の先例としては重要でしょう。
最高裁は、問題となった市条例の解釈として、この種の判断において集会の自由を制限できるだけの「危険性」について、単なる蓋然性では不十分であり、「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である」という判断を示していて、このような最高裁の判断が、上記の東京地裁決定に大きく影響しているものと推測されます。

追記2:

都側の抗告棄却=朝鮮総連系団体の公園使用−東京高裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070301-00000106-jij-soci

宮崎公男裁判長は「集会による混乱は具体的に予測されていない。混乱があっても、警察の警備で防止することが難しいとはいえない」と述べ、都側の主張を退けた。 

判断枠組みとしては、地裁決定と同様のようですね。警視庁にしっかり警備してもらいましょう。>東京都

追記3:

東京地判平成21年3月24日(判例時報2046号90頁)
東京都による使用承認処分が取消が違法であるとされ国家賠償請求が一部認容された(確定)