渋谷の妹殺害、のこぎり・木刀を特捜本部紛失…廃棄か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070209-00000405-yom-soci

7日午後に鑑定に出そうとした際、段ボール箱がなくなっていることが判明。その後の調査で、段ボール箱が室内のゴミ置き場近くに置かれていたため、前日の6日朝、捜査員がゴミを廃棄した際、一緒に捨てた可能性が高いことが分かった。

昨日、文化放送のインタビューを受けた際にも言ったのですが(放送されたかどうかは不明)、証拠品の紛失事故、というものは、時々起きるものの、これだけの大事件で、これだけ重要な証拠を紛失する、というのは、稀な事態と言えるでしょう。
こういった凶器については、
1 鑑定を行う(形状等を明確にするとともに、血液、DNA鑑定等で犯行に使用されたことを確認)
2 被疑者に示して犯行に使用したことを確認
3 入手状況等を確認、裏付け
といった捜査が行われるのが通常です。捜査に入った後、かなり早い時期に紛失してしまったようですから、上記1は未了、2や3についても十分には行えないままだったものと推測されます。
この事件では、犯人性は問題になっていないようですから、この紛失事故が、公判での立証に致命的な影響を及ぼす可能性は低いと思われますが、公判になって、自分は犯人ではない、とか、使用した凶器は別の物である、といった主張が出ないとは限らず、万全な立証を尽くす、という観点では、埋められない、ぽっかりとした大きな穴があいてしまったようなものと言っても過言ではないと思います。
捜査本部の、ドタバタした状況の中で起きた過誤だと思いますが、改めて、証拠品管理を徹底する重要性を感じさせられます。
今後の立証に支障が生じないとしても、このようなことが起きるようでは、捜査に対する国民の不信を招く恐れもあり、関係者は十分反省し、注意すべきでしょう。