ネットのおとり捜査推進 警察庁、取り締まり指示

http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=soci&NWID=2006102601000162

警察庁は26日までに、インターネット上でわいせつDVDや偽ブランド品を販売する違法業者を取り締まるため、捜査員が身分を隠して「客」として実際に商品を購入、違法な物であれば摘発する「買い受け捜査」を推進するよう全国の警察に指示することを決めた。

警察庁は「ネット上の違法販売は通常の捜査では摘発が難しい。提供側に犯罪の意思があり、おとり捜査が適法とされる要件を満たしている」として、27日に開く「全国生活安全部長・地域部長会議」でさらに積極的な取り締まりを通達する。

この点については、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040714#p3
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040714#p4
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040716#p4

でも触れたような最高裁判例があります。
最高裁は、

少なくとも,直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において,通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に,機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは,刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容されるものと解すべきである。

という基準を示しており、対象は薬物犯罪に限定していません。上記のようなインターネット上の犯罪行為については、「通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難」かどうかが、特に問われることになるでしょう。困難で、おとり捜査が必要かつ可能な場合も多いと思われますが、必ずしもそうでもない事件もありそうで、ケースバイケースで考えるしかないのではないかと思います。おとり捜査の濫用にならないよう、慎重な捜査が必要で、そのあたりを誤ると、将来、公判で必ず争われるでしょう。