司法制度を支える法曹の在り方

宮澤氏が所属されている大宮法科大学院大学のサイト

http://www.omiyalaw.jp/index.html

では、「司法制度改革審議会意見書ー21世紀の日本を支える司法制度ー」(平成13年6月12日 司法制度改革審議会)

http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/index.html

にリンクがはられており、さすがに司法改革に対する造詣が深い法科大学院であるとお見受けしました。
同意見書の中では、「III 司法制度を支える法曹の在り方」

http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/iken-3.html

という部分があり、その中の

第2 法曹養成制度の改革/2 法科大学院/(2) 法科大学院制度の要点/エ 教育内容及び教育方法

を見ると、

法曹となるべき資質・意欲を持つ者が入学し、厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で、法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約7〜8割)の者が後述する新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。厳格な成績評価及び修了認定については、それらの実効性を担保する仕組みを具体的に講じるべきである。

とされています。
ここで見落としてはならないのは、「厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で」とされていることでしょう。素直に読めば、同意見書は、法科大学院に入った人々が、そっくりそのまま卒業することは想定していない、と言えると思います。厳格な成績評価及び修了認定が行われることにより、小倉先生のブログ

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2004/12/post_8.html

で指摘されているように、その中の相当数が卒業までに進路変更せざるを得ないという姿が、正に同意見書が想定している法科大学院の姿と言えると思います。司法試験を志しても、適性、能力、意思の弱さ、健康問題、家庭の都合等々、様々な事情で司法試験合格にはたどり着けない人は多いものですが、同意見書も、法科大学院に入りさえすればよほどのことがない限り卒業できる、といったバラ色の幻想はまったく振りまいていません。
同意見書は、そういったことを「不可欠の前提」と釘を刺した上で(「厳格な成績評価及び修了認定については、それらの実効性を担保する仕組みを具体的に講じるべきである。」とまで言っています)、「その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約7〜8割)の者が後述する新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。」としているわけです。
こういった、同意見書が要請している「不可欠の前提」を、きちんと実行し、適性がなかったり、能力的に問題があったりする学生に厳しく対処して、「泣いて馬謖を斬る」といった精神で、落第を含めた厳しい措置をとっている法科大学院がどれほどあるのか、疑問です。
もし、同意見書が要求しているような措置が講じられていなければ、卒業生の合格率アップを要請する基盤そのものが揺らいでいると言われても仕方がないでしょう。
少なくとも、宮澤氏が在籍されている大宮法科大学院大学では、上記のような

厳格な成績評価及び修了認定については、それらの実効性を担保する仕組みが具体的に講じられ、実際に行われている

という状態が、完全に実行されているんでしょうね?
もし、そうでなければ、主張の前提が完全に崩れてしまいます。