<最高裁>盗んで逃走、戻りナイフ突きつけ 事後強盗不成立

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041211-00000033-mai-soci

この判例については、

http://dolus.blog01.linkclub.jp/index.php?itemid=28881

でも検討されていました。
事後強盗罪は、

第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

という犯罪で、上記のブログで指摘されているように、上記の暴行、脅迫が「窃盗の機会」に行われたかどうかが、犯罪の成否を分けることになります。控訴審までは窃盗の機会と認定し、最高裁がその点を否定した、ということになると思います。
窃盗行為自体が修了していても、現場からの逃走中とか、窃盗の現場で誰かに発見されて見とがめられている、といった状況があれば、「窃盗の機会」と言えるでしょう。では、どこまでが「機会」なのか?という線引きが、従来の判例では、必ずしも明確ではなかった、という印象が私にはあります。
私見では、客観的な状況と行為者の主観面を総合的に見て機会性を判断すべきであり、犯意の継続(この件で言えば、行為者に「盗んだ金が少なければ再び同じところへ盗みに入ろう」という意思があってそれが継続していたのかもしれません)があっても、客観的に見て、一つの窃盗の機会というものが終了したと判断されれば、その後に暴行、脅迫があっても、新たな「窃盗の機会」のものと認められる必要があり、その意味で、最高裁が、「ここまで来ると、窃盗の機会とは言えないよ。」ということを明確にした(ように思います)ことは、意義のあることではないかと考えています。