本能寺の変 信長の油断・光秀の殺意

昨年、購入後にざっと目を通して、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20101031#1288497782

とコメントしましたが、きっちりと読んでいなかったので、最初から最後まで通読しました。
著者には、織田信長に関する著書が複数あり、信長公記を中心に据えて実証的に考える姿勢に、個人的には共感を覚える点が多いのですが、本書でも、信頼できる史料に基づいて合理的に考える、という姿勢は貫かれています。本能寺の変に関する、各種の黒幕説を排し、明智光秀による計画性も否定して、通説通り、あくまで明智光秀単独による謀反であったと論じられています。いろいろな史料が紹介されていて、中でも、斉藤利三(明智光秀重臣春日局の父親)の三男である利宗(徳川幕府の旗本になった)が、江戸期になって語ったとされる話は、通説に沿うものですが、明智光秀重臣達に謀反を打ち明ける場面などにリアリティーが強く感じられ、おそらく、この辺が真実に近かったのではないかと思われました。
本能寺の変について、これから何か読みたい、という人は、本書あたりから読み始め、異説についても読んでみる、という読み方が良いかもしれません。

2011年06月10日のツイート

元大阪地検特捜部長の玉井英章さん死去 改ざん巡り引責

http://www.asahi.com/obituaries/update/0611/OSK201106110108.html

玉井 英章さん(たまい・ひであき=弁護士、元和歌山地検検事正、元大阪地検特捜部長)が11日、大動脈解離で死去、60歳。通夜・葬儀は近親者で行う。

先ほど知ったのですが、驚きました。ショックです。
玉井さんとは、平成2年に、徳島地検に赴任し、3年間、玉井さんは3席検事、私は新任明けの検事として、一緒に勤務しました。その時の思い出は、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20101018#1287404147

でもコメントしましたが、ゴルフへ連れて行ってもらったり、私のほうがワープロ操作には慣れていたので教えて差し上げたり、独自捜査の事件で共に苦労したりと、苦楽を共にした間柄でした。その後、一緒に勤務する機会がないまま、私は退職してしまいましたが、一昨年、大阪へ出張で行った際、大阪地検を訪問して、庁舎の内部を案内していただき、ランチをご馳走になったことが懐かしく思い出されます。その後、あの、一連の事件が起き、私はテレビ等でなかなか厳しいことを言っていて、それを観てご存じであったはずなのに、退職の挨拶状では、この私を励ます言葉を書いていただき、恐縮していました。今年の4月下旬に、事務所開きをするとのことで、私は、立場上、遠慮していたのですが、一連の事件が落ち着いたら、大阪へ行き、久しぶりにお酒でも飲みながらゆっくりとお話したいと思っていたのですが・・・。あまりにも若く、一連の事件による心労が影響したのではないかと思わずにはいられません。
心より、ご冥福をお祈りしたいと思います。