法廷内で精神鑑定 大阪・住之江の死体遺棄

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100514-00000509-san-soci

検察側は捜査段階で精神鑑定を行ったが、弁護側は不同意。このため、杉田裁判長は鑑定医を終日法廷に同席させ、被告人質問の様子を見せるなどして精神鑑定を行わせた。
鑑定医が結果をまとめる時間が必要になるため、通常の連日開廷ではなく、次回公判は6日後の19日に開かれる。裁判員に分かりやすくするため、鑑定結果はすべて口頭で説明されるという。

先日、法科大学院での講義でも簡易鑑定(捜査段階で行われることがある簡易な鑑定)のメリットとして話したのですが、早い時期に行われる鑑定のほうが、犯行時により近く、それだけ犯行時の精神状態に迫れる可能性があると思います(そうなるとは限りませんが)。鑑定書(調書もそうですが)は、その時点の鑑定人の判断結果をパッケージ化したようなもので、裁判員裁判裁判員にはわからないから、と言って簡単に切ってしまってよいのかという、素朴な疑問を感じます。
また、記事にあるような「傍聴」等の方法で、どこまで正確な鑑定ができるかという問題もあるでしょう。裁判員裁判でわかりやすく、ということは重要なことですが、わかりやすさを求めるあまり、当事者による立証への制約の度が過ぎれば、次第に、人の運命を決める刑事裁判として要求される水準を割り込んで行く危険性がかなりあるでしょう。裁判員制度というものを存続させるべきかという議論につながるものもあるように思います。

異臭やごみ散乱で被害 『野良猫餌やり訴訟』判決詳報

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20100514/CK2010051402000089.html

本件に関心を持たれた方々の意見は、当裁判所が地域猫活動等について理解を深め、結論を考えるに当たって大変役立った。しかし本件の問題は、区分所有法の適用があり、猫を含む動物の飼育を禁じる規約を有するタウンハウスにおける猫の飼育、または餌やりの問題である。

現在の法秩序の下では、規約で猫等の飼育を認めなかったり、マンション敷地での野良猫に対する餌やりを禁止したりすることが公序良俗に反し無効であるなどと解することはできない。
被告の餌やり行為は受忍限度を超える違法なもので、原告への損害賠償義務がある。

裁判というものは、強制力があるルールに照らしそのルールに違反しているか、違反している場合はどのような効果(損害賠償等)が出るか、ということを問題にするもので、社会における人々の生活の在り方、といったことについて、社会を教え導いたり人々に指図するような権限はないものです(裁判を通じて結果的にそういった側面が出てくる場合もありますが)。
そのような意味で、この訴訟の経過、今後の結果(確定した際の結論)を、この種問題について一般化して行くことの危険性を感じます(「野良猫に餌をやるのは違法」といった形で)。裁判所も、判決を書きながらそこを懸念して、上記の記事にあるようなことを言ったのでしょう。
動物が好きな人もいれば嫌いな人もいて(無感心な人もいますが)、この種の問題は、日常、よく起きがちなだけに、どういったルールを、どのような方式で定め、紛争が起きた場合はどのように解決するかということを、今後、裁判とは別に考える必要性を感じます。

柏崎市:弁護士さん、わがまちに来て!! 誘致へ、300万円補助制度 /新潟

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100513-00000107-mailo-l15

ボ2ネタ経由で知りました。

開設後5年間は休止・閉鎖しないことが条件。事務所の購入・賃貸料や広告料、事務職員の研修費などについて、開設時に2分の1までで、300万円を上限に補助する。
市によると、制度は4月1日に始めたが、弁護士からの申請はまだない。同市のように地裁支部がない市町村に弁護士が常駐するケースは、県内では極めてまれ。補助制度は5年間の時限措置だが、申請がなければ、制度改正して延長することも検討する。
市によると、福島県南相馬市鳥取県がすでに同様の補助制度を導入しており、実績も上げているという。

弁護士が増えてくると、ただ漫然と構えているだけでは独立、開業がまずます困難になりますが、都会ではない場所で、こういった公的な補助金等をうまく活用して、というのは、有効な方法でしょうね。
弁護士に限らず、「都会志向」というのは強いもので、どうしても都会にしがみつく傾向がありますが、仕事が忙しければ都会のメリット(遊ぶところが多い等)はなかなか享受できず、むしろデメリット(環境が良くない、経費がかかる等)のほうが際だってくるものであり、都会にしがみつくだけの意味があるか、ということは、よく考えてみる必要がありそうです。
単に、感情的に都会にいたい、と考えるのではなく、例えば、都会と上記の記事にある柏崎のような場所とを、いろいろな項目で比較し、トータルでどちらにメリットがあるか、どちらに住み仕事をすることが、自分にとって長い目で見てプラスになるか、ということを冷静に分析してみることも大切なことでしょう。
そういうお前はどうなんだ、という声が聞こえてきそうですが、とりあえず、小なりといえども現在の場所で独立、開業しているので、当面はこの状態を維持したいとは思っていますが、60歳、70歳(そこまで生きているとして)になった時、その時点での状況に照らし、今の事務所をたたんで地方へ移転するということも視野には入れていて、そこは柔軟に考えるつもりでいます。
元々、細々とやっている弁護士ですから、細々とやることには慣れていて、都会で生まれ育ったわけでもないので、そうなった場合もおそらく自分自身として抵抗はないでしょう。